御伽噺

温故知新

御伽噺

 むかし、むかし、ある国に、美しき娘がいました。


 その娘は、父が国の宰相を務める家の一人娘でした。


 その見た目は、誰もが思わず見蕩れる程に美しく気品溢れるものでした。


 しかし、そんな見た目とは裏腹に、中身は勝気で負けん気の強いお転婆娘さんだったそうです。


 そんな娘に対し、両親は時に厳しく時に優しくしながら愛娘を深く愛しました。


 娘も、両親の愛に感謝しながら自分に関わる人間に分け隔てなく愛を以て接していました。


 そんなある日、突然父親の不正を公にされ、その日の内に父親は宰相の地位を追われました。


 その日の夜、何者かが宰相家に火を付け、一夜にして宰相家に住む人達は家と共に全員亡くなりました。


 こうして、親しまれる娘とその両親の穏やかな日々は、唐突に終わりを告げましたとさ。


 おしまい。

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