眠りの前に

夢のはざまに ── Dear my dog ──

　君はもう夢の中だろう。隣で寝息をたてているようだから。口角を少し上げ、穏やかな微笑みを浮かべながら、寝そべっている。そんな姿が愛おしくてたまらない。

　僕はまだ夢の中にいけない。君の寝息のおかげで、穏やかにいられるのが救いだ。君にこんな姿を見せなくて済むのだから、君の眠りは深いのが良い。

「どんな夢なんだろうね」

　頬が緩む。幸せだと思う。なのになぜ、眠れないんだろう。君が居るおかげで、寝付けなくて不安にならないのも、救いだ。

　僕は君なしでは生きていけないだろうね。僕が居なかったら、君は生きていけないのかもしれないけど。君は、僕じゃない誰かが居れば、たぶん生きていける。僕が居ない不安を、君に感じてもらいたくないけれど。

　僕は、君が居ない不安を想像したくない。

　だからだろうか。いつか来るその日を思って、僕は眠れないのだろうか。それなら僕は幸せだ。君の寝顔を見ていられるし、君が目を覚ました時に僕が居るその瞬間の表情を見逃さないのだから。

　僕は壊れているだろうか。

　たとえそうだとしても、僕は幸せだから。

　君が生きている限り、僕は幸せなのだから。