うしなわれたいのち

 これを子供に読ませて良かったのだろうか――?

 十二月二十六日の朝。起きてすぐだ。

 ふと、子供部屋に行ってみる。と。

「……え?」

 そこには、腹から大量の血が出ている我が子がいた。枕元には「これは現実にあったんだ! サンタを信じないお子様にどうぞ!」という帯と「আপোনাৰ সন্তানৰ মৃত্যু হৈছে」と書かれた黒い手紙。

「え、ギャァァァ!!!!」

 母親は夢だと思って一旦、自分の布団に戻った。

 と、別の手紙が置いてあった。

「残念ながらおなかの赤ちゃんは死亡していました」

 ――ウソ。二人? ウソ、あれ、死んで……無いよね? 夢だ、夢だ、夢なんだぁ!

 母親は涙を流し始めた。ブルブルと体が震える。

 漆黒の紙はヒラヒラと部屋中を舞っていた。


(完)

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さんたさんのやみのてがみ DITinoue(上楽竜文) @ditinoue555

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