第21話 山へ進め 7
「……魔王?」
「何を
なんだ。いつものお得意さんじゃないか。メイドの服装をしてるし。……でも何で訪ねて来た?
「何でここに私が居るって分かったんだ?」
「私が仕える坊ちゃま達のレジャーのお供で、この近くにある山荘に寝泊まりしているんですが、今日この辺りでピクニックをしている途中で貴女が街から帰るところをお見掛けしたんですよ。ここまでの道は一本しか無いですからね」
「でも何でこんな夜中に」
「それが聞いてくださいよ!メイドの仕事の辛さを!私の仕える坊ちゃまときたら何でも適当で……(中略)……悪戯を注意しても聞き流しますし……(中略。先程の10倍)……今日だって昼寝したら顔に落書きされて……」
「分かった!……分かったから!もういいぞ!」
「誰でもいいから愚痴をこぼしたくなってしまったんですよ。……しくしくしく」
ん?……何故私は会った瞬間に、こいつを見て魔王だと勘違いした?
束ねて纏めているが、長い黒髪。優し気だが、少し赤み掛かった金色の目。……黒髪はともかく目の色は珍しい。
「似ている……まさか魔王じゃ……」
「やれやれ、またですか。……最近よくそう言われて困っているんです。帝国に現れた魔王とやらに、たまたま私の髪と目の色が似ているからって。行きつけの酒場では魔王ちゃんなんて皆に呼ばれていますし」
「本当に魔王じゃないのか」
「お客さん。もしかして魔王っていうのは…………こんな顔じゃなかったですか?」
「ぎゃ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!って何も変わらん同じ顔じゃないか!脅かすんじゃないぞ!……怪談の
「ふふ。ノリのいい子ですね。……それではご褒美に私のとっておきの怖い話をお聞かせしましょう」
「……ま……待て……怪談は苦手なんだぞ……先にトイレに行って来るから……エドマメとビールも持ってくるから」
「聞く気満々じゃないですか」
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