夕暮れ時

ももいくれあ

第1話

車の轍が好きだった。

すっぽり、入り込めるから。

誰かが歩いた足跡をなぞって、なんだか少しホッとした。

時には座って、何時間も轍に話かけていた。

長くなった影を見つけて、嬉しくって、少し踊った。

夕暮れのそんなすべての光景が、ワタシを支える要素だった。

だから、ひとりなんかじゃなかった。

寂しくなんてないよ。って、

小さな声で、いつも言ってた。

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夕暮れ時 ももいくれあ @Kureamomoi

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