第30話 初フライト💕は命懸け!?
純白の美しいドラゴンとなったユニカに俺が
「師匠! 早くユニカに乗ってください!」
と、少女の時と全く同じ声で呼び掛けられた。
それで、
「ああ、うん! なんかすごい美しい姿だったんで見惚れちゃってな」
と、俺が正直に言うと、
「ほんとですか! もしかしたらちょっと引かれちゃうかなあと思って心配してたんですけど・・・・・・よかったです!」
と美しいというか、もう神々しいくらいの姿になったユニカが言うので俺はさすがに
「・・・・・・じゃあ、乗らせていただきますね」
「師匠! どうぞ、どうぞ!」
こんな神々しいドラゴンにそんなふうに言われると本当に不思議な気分になってくる。
そんなことを思いながらその背中に
「うわああああぁあああっ!」
「師匠! お口は閉じといてください! 舌を噛んじゃいますよ!」
それからユニカは天高く舞い上がり、おそろしいスピードで真っ直ぐに目的地に向かって飛んでいった。
本当に途中でよく振り落とされなかったなぁとつくづく思う。
でも、これはあとで聞いた話なのだが、あの指輪を
それならそうと先に言ってくれれば、もっとあの時の空の旅を楽しむことができたのに!
俺は本当に命の危険を感じながら振り落とされないように必死に小一時間ずっとユニカの白い体にしがみ付いていたのである(でも、毛糸の帽子とか厚手のコートとか裏ボアのあったかパンツとかのお陰で寒くて死にそうにはならなかった)。
⚫
俺たちはツーツンツ王国とバージセ王国の国境付近にあるマカハニ
その二足歩行の2メートル以上ある猫の魔物の心臓の部分が俺には光って見え、さらにその光った部分にはこんな文字がくっきりと浮かびあがっていた。
【
※成功率40% 1
前にもこんなことがあったような・・・・・・。
そんなことを思っていると、頭がキリキリと痛み出し、何かがその先を思い出すことを妨害してくる。
俺は仕方なくそれ以上思い出すことを諦めてユニカ(すでにドラゴンから少女の姿に戻ってい)にこう伝える。
「なんか俺、ヒーラーじゃなくて
「師匠! シーフってなんですか?」
「盗賊・・・・・・つまりは
「すごいじゃないですか! 師匠!」
「何がすごいんだよ! 盗人だぞ、盗人! 最悪じゃねぇか!」
「そんなことありませんよ! 師匠は盗人だから炎のブレスも吐くことができたんですよ!」
「うん。ありがと。・・・・・・でも、自分で言うのはいいんだけど、あんまり盗人とか言わないで、傷つくから・・・・・・。盗賊かシーフで頼むよ」
「すいません! 師匠! 師匠が盗人、盗人言ってたんでてっきり気に入ってるのかと・・・・・・シーフとこれからは言いますね! とにかく師匠はシーフの力でどんどん能力を盗んで・・・・・・というか、集めて強くなってください!」
「いろいろ気を使わせて悪いな。でも。盗むは盗むでいいよ、別に。・・・・・・それよりちょっと思ったんだけど俺に炎のブレスを盗まれてユニカはもう炎のブレスが吐けないんじゃないのか?」
「え? そんなことあるわけないじゃないですか! ほら、この通り!」
そう言うと、ユニカはボォーッと迷宮の天井に向かって特大の炎のブレスを吐いた。
「あれ? でも、なんか感覚的に俺が能力を盗むと相手はその能力を失っちゃうような気がしたんだけどな」
「うーん。普通はそうなんじゃないんですか? でも、マスタードラゴンの力は普通の力じゃないですからね。・・・・・・それにもしかしたらあの時はシーフの力じゃなくて愛の力で炎のブレスが吐けたのかもしれませんよ! だってあの時はシーフだとか盗賊だとか言ってなかったじゃないですか!」
「そういえばそうだな。あの時はこんな文字は見えなかったな。じゃあ、なんで炎のブレス吐けたんだろ?」
「だから愛の力だって言ってるじゃないですか!」
俺はユニカのその言葉と目の前の敵を無視して、少しの間そのことを考え続けた。
※※※
第30話も最後までお読みくださりありがとうございます!
もし少しでもおもしろいと思っていただけたら、作品フォローや★評価をしてもらえるとすごくうれしいです!
【次回予告】
第31話 一流料理人になる!?
俺(師匠)が一流料理人に!?
だが、その前に巨大な猫をどうにかしなければ!
俺はユニカに倒してくれるように頼むのだが!
どうぞ続けてお読みくださいませ
m(__)m
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