第9話 トラバウト教授の㊙️講義その①
ザッハ・トラバウト教授は氷属性の
かつてはツーツンツ王国一の
それまでは、氷属性は
そんな偉大な過去の英雄も今年で62歳。
当然力も徐々に衰えてきているようだが、日々の
つまりトラバウト教授は今でも正真正銘の現役の
そんなトラバウト教授の第一回目の講義は、ヘッケルト教授の一回目が
「君がヘッケルト教授のお気に入りのみつ持ちくんだね?」
トラバウト教授――スキンヘッドで身長190cm以上ある大男――にいきなりそう尋ねられて俺はしばらくの間何も返答することができなかった。
なぜならその声音に明かに悪意のようなものが含まれていたからだ。
どうやらヘッケルト教授と仲が悪いという噂は本当らしい。
でも、なんとなくこの人が勝手に嫌っているだけでヘッケルト教授の方はあんまり相手にしてないじゃないかという気も少しした。
この時までに、すでに第201番から第143番までの伍長が一対一での剣術指導を受け、その全員が
「二つ持ちは
そう自分で言って自分で笑っているトラバウト教授の
「みつ持ちくん、剣を構えなさい。ワシのミスリルの鎧にその剣で少しでも触れることができたら君の勝ちだ。君は特にじっくりと指導してやるからな!」
トラバウト教授が口元に不気味な笑みを浮かべてそう
トラバウト教授は
ここで、ただ剣を振り上げて突進していっても、今までの伍長たちと同じように瞬殺されるだけだろう。
そう思って、俺は一か八か、頭の中で、火と雷と時計の針を具体的にイメージしてみた。
それもできるだけ鮮明に!
そして、その鮮明なイメージを剣の
すると、耳元でカッチカッチと時計の針が動く音がし始めた。
と思うと、急にトラバウト教授の声が動画を超スロー再生した時みたいにひどく間延びした滑稽な感じで聴こえてくる(この人は戦闘中もごちゃごちゃと何か喋っているのだ)。
さらに次の瞬間、剣の
これならいけるっ!
そう思って、動きが
そして、赤く燃える火(炎とはまだ呼べない)と雷のかたまりの両方が混じった剣の切っ先でトラバウト教授のご自慢のミスリルの鎧を思いきり突こうとしたその時だった。
――ガラガラガラガラッ
なんと俺の剣は握りの部分だけを残して砕け散ったのである。
それと同時に、時属性の能力も解除されてしまったらしく、トラバウト教授の動きが通常に戻り、俺は刃のない
「ッ!」
と俺があまりの痛みに短く声を漏らしてしまうと、トラバウト教授は満足そうな笑みを浮かべてこう言った。
「ついさっきのワシの話を聞いていなかったのかね? 二つ持ちは
俺がその1ヵ月でおそろしいくらいげっそりと痩せてしまったのは言うまでもないことだ。
※※※
第9話も最後までお読みくださりありがとうございます!
ここまでで、俺(ルーフェンス・マークス第142番伍長)のことを応援してやろう、もう少し見守ってやろうと思われたら、作品フォローや★評価をしてもらえるとうれしいです!(応援コメントやレビューコメントもお待ちしております!)
【次回予告】
第10話 永遠の部下❤️ユアール・プライツ登場!
いよいよちょい出世した俺(ルーフェンス・マークス第142番伍長)は新しい部下たちと対面する!
その中で一際目立つ部下、ユアール・プライツとは?
いろいろややこしい第10話っ!
どうぞご期待くださいませm(__)m
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