第7話 初体験!?💗
ツーツンツ王国魔術軍では、伍長になると1人部屋が与えられる。
狭い部屋だが、ドアにはちゃんと鍵がついているし、使いやすそうなベッドと勉強机も備え付けられている。
俺は男子校だった前世の高校時代もずっと寮生活だったので、なんだか懐かしいような感じがして嬉しかった。
ちなみに、前世の高校の寮は3人部屋(1年と2年)と2人部屋(3年)だったので、1人部屋なだけで毎日密かにテンションが上がりまくっていた(1人暮らしの部屋と寮の1人部屋とは根本的に何かが違っていてなぜか毎日ワクワクしてしまうのだ!)。
俺はいつものように鼻歌を歌いながら鍵を開けて部屋に入ると、すぐにベッドに横になってさっき図書館で借りてきた本を読もうとしたのだが(本当に変なことをしようとしなくてよかった!)、布団を
「ギャァァアアアアアアアアアッ!」
なんとそこには、ジュナ・ヘッケルトが横になっていたのである。
「・・・・・・なっ、なんで、こんなところにいるんですか?」
ひどく震えた声で俺が尋ねると、
「父がこの棟の管理をしているので鍵は簡単に手に入るんです!」
と、ジュナ・ヘッケルトはなぜか得意気に言った。
全然答えになってないんですけどっ!
とツッコむ勇気は残念ながらこの時の俺にはなくて、
「・・・・・・そんなんですか」
と、なんとも情けない受け答えをしてしまった。
ヘッケルト教授の顔を思い浮かべると、いつかみたいに、「ムフフフフ」と呑気に笑っていた。
合鍵なんて絶対渡しちゃ駄目でしょ!
俺は頭の中のヘッケルト教授に抗議した。
すると、その娘が俺にこう言ってきた。
「・・・・・・じゃあ、早速始めましょうか?」
「何を・・・・・・ですか?」
「何をって・・・・・・男女がベッドの上ですることなんて一つしかないじゃないですか!」
「えっと・・・・・・それは、つまり?」
と、その時は気が動転していて頭が回らず本当によくわからなかったので俺がそう訊くと、ジュナ・ヘッケルトはなんとも魅惑的な微笑を浮かべながらこう言った。
「・・・・・・ひょっとして童貞なんですか?」
「えっ?」
童貞だよっ!
俺はあっちではずっとチェリーを貫きましたよ、間違いなくっ!
と、俺は気がつくと心の中でそう誰かさん(誰だろうか?)に向かって叫んでいた。
「大丈夫ですよ! 私に・・・・・・ジュナにすべて任せてください。ベッドに横になってるだけで、ジュナが天国に連れていってあげますから!」
すると、ジュナ・ヘッケルトは誘うような
その時だった。
「ルーフェンス、やっぱり基礎魔術の勉強付き合ってやるよ!」
ドアの鍵をかけなかった俺も悪いが、ノックもなしでいきなり入ってきたヤーバス・ロダノ第139番伍長も悪い!
「あっ! えっ? ・・・・・・ああ、ごめん! お邪魔だったな、完全に!」
ヤーバス・ロダノ第139番伍長がそう言って出ていく前に、
「・・・・・・お友達をそうやって魔術で呼び寄せて邪魔させるくらい私と・・・・・・ジュナと愛し合うのがお嫌だったんですね! ひどいっ! ひどすぎるっ!」
と叫んで、ジュナ・ヘッケルトは俺の部屋から飛び出していってしまった。
それから俺とヤーバス・ロダノ第139番伍長は、しばらくは声も出せずにただ呆然としていた。
そして、ようやく喋り出したのはやはり俺ではなく彼の方だった。
「ルーフェンス、部屋に連れ込むほどの仲になってるなら一言そう言っといてくれよな! 今年で一番驚いちまったよ!」
「違うんだよ!」
と、俺は当然反論した。
「何が違うんだよ?」
一瞬言おうかどうか
「・・・・・・部屋に帰ってきたら、ベッドの布団の中に彼女が隠れてたんだよ! 鍵をちゃんと閉めてたのに合鍵を使って中に入って!」
俺があまりに必死に訴えたからだろう。
友は俺の言うことを信じてくれたようだった。
その証拠に、ヤーバス・ロダノ第139番伍長はひどく深刻な声でこう言ってくれたのだ。
「ルーフェンス! ちゃんと交際を断らないと本当に大変なことになるぞ!」
※※※
第7話も最後までお読みくださりありがとうございます!
ここまでで、俺(ルーフェンス・マークス第142番伍長)のことを応援してやろう、もう少し見守ってやろうと思われたら、作品フォローや★評価をしてもらえるとすごくうれしいです!(応援コメントやレビューコメントもお待ちしております!)
【次回予告】
第8話 勉強会でも女の噂💕をする男たち
俺(ルーフェンス・マークス第142番伍長)の部屋で勉強会をする二人。
しかし、すぐにヤーバス・ロダノ第139番伍長は女の噂話を始めてしまう。
ちゃんと勉強しろよ、な第8話っ!
どうぞ続けてお読みくださいませ
m(__)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます