第11話 訪れた戴冠式


教会へ向けて馬を走らせ漸く目的の場所へ辿りつけば私は小さく息を吐いた。私や他の兵士たちも馬から降りて辺りを見渡し目的の馬車が見えてきた。私達は敬礼し馬車から降りてくるであろう人物を待った。


「……やぁ皆。此度の戦はご苦労だった」


「全て彼女……リナの指示の元動いた迄です。王太子様」


「いえ……全てはこの国の為。そして貴方様の為です我がフランシアの光……王太子様。」


「あぁ、ありがとうリナ。君たちは中に?」


「えぇ兵士数人とリナは中で他は外での待機になります」


兵士の1人がそう告げたあと私はこくりと頷いて教会の中へ歩を進めた。




シンとした空間に張り詰める空気。息が詰まりそうになるほどの緊張感に中に入った兵士達は少し震えていた。私は小さく息を吐きじっと正面を見ていた。


暫くして法皇が話し始め次々に王太子に宝剣や宝珠などが授けられついに王冠が王太子の頭上にかぶせられた。あぁ漸く……漸くこの国に新しい王が誕生した……!



教会の鐘が天使の祝福のように鳴り響く。私達は顔を見合せ小さく頷いた。この景色を忘れない為に私はすぐに戴冠式の方を向いた。





王太子……いや新王の側近である大臣の1人がこちらを睨み付けているとは知らずに。

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