第20話 てるてる坊主

てるてる坊主、てる坊主。

明日天気にしておくれ


彼女はそう歌っててるてる坊主を吊り下げた。

「なに?その歌」

「知らないの?てるてる坊主の歌だよ?」

「あ〜聞いたことあるかもしれくもない」

「どっち?」

クスクスと笑いながらもう一つのてるてる坊主を吊り下げる。

今日は随分とてるてる坊主を作ったみたいだ。

あっちこっちに吊り下げられた影が見える。

「て言うか外に吊るんだね」

「うん、外の方が広いじゃん」

確かにそう言って私もてるてる坊主を吊り下げる縄の準備をする

ピチャピチャとてるてる坊主から滴ってくる雫が鬱陶しい、帰ったらシャワーだ。

もう夕暮れで薄暗い、もう少ししたら帰れるから頑張ろう。

残業なんて嫌だ。あと3体


「終わった〜!」

「体痛い、作りすぎだよ」

「ごめんて」


談笑しながら家へと帰る空を見ると月が出ていた。

体はずぶ濡れ家に帰ってからのシャワーが楽しみだ


月の影に照らされながら二つの影がを降りていく。

後に残ったのは沢山の吊るされたてるてる坊主死体だけだ。

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ホラー短編集 なつめオオカミ @natsumeookami

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