第二十話 「104 Дача(104ダーチャ)」

"ブシュウウウウウウゥゥッ―――


「более,

(――――っと)」


"ガシャンッ!"


「Это очень


 грязное место, Это


 тоже сайт 104 Дачи?

(ずい分汚ねえ場所だな・・・


 ここも、104ダーチャの跡だってのか?)」


「Верно,

(その様ね....)」


"ブシュウウウウウウウ――――


「(бак···?)

(タンク・・・?)」


ЗАТО/ZATO、かつて秘密都市と呼ばれていた


ツベフォフ達が消えて行った


岩肌の先の世界へと進むと、レベデワ達四人は


その雪が降り積もる岩肌の入り口の先に


おそらく、かつてこの場所が秘密都市、


そう呼ばれていた名残りの様な


"建物"を発見し、四人のN/S捜査員は


その施設内をツベフォフ、江母井、


そして河野の三人の被疑者の


形跡を探すため、そして、この


ZATOと呼ばれる世界が何なのか...


奇妙な印象を感じ、施設内を


ゆっくりと進んで行く――――


"ガラッ!


「Нет Давным-давно в


 этом месте была


 какая-то лаборатория


 под названием 104


 Дача, верно?

(いや・・・ この場所に、大昔に


 104ダーチャとか呼ばれる


 何かの研究所みてえなモンがあったんだろ?)」


「по документам, да

(・・・資料によると、そうね...)」


"ブシュウウウウウウウウ――――"


「(・・・・)」


かなり古めかしい、すでに世紀を跨ぐかと言う程


古い時代に使われていた今捜査をしている


この104ダーチャの施設内の


部屋の中を見渡すと、そこには


すでに施設が使われなくなって


かなりの年月が経っているせいか、錆びた金属片、


古びた水道管、壊れた窓ガラス....


さまざまな、"施設"の存在の証の様な物が


地面に散らばっている姿が見える....


「не похоже ли что этот


 объект все еще


 работает?

(・・・まだ、この施設


 動いてるみてぇじゃねえか)」


"ブシュウウウウウウウウ――――!


部屋の隅の方にある、斜めになった


銀色の長細いタンクから


水蒸気の様な物を出ているのを見ると、


アントンは足元にあった錆びた金属の


ボウルを蹴飛ばす


「Ах, Ах, Ах,

(あ...あ~あ...)」


「Заффер

(ザファー...)」


「Ууу,

(う、うう....)」


「Какие?

(・・・何だ?)」


「Я, Ах, моя голова.

(い... あ、頭が...)」


「??」


後ろに目を向けると、ザファーが


手で頭を支えながら、すぐ脇にある壁に


寄り添う様に別の手を添えている姿が見える....


「Ах это странное место


 под землей без света.


 Все стало странно не


 так ли?

(あ~ 地下で明かりもねえ


 おかしな場所だからなー


 具合でも悪くなったんじゃねえか?)」


「У тебя все нормально?

(―――平気か?)」


「Нет,

(う、うん...)」


具合が悪そうな様子を見て、ジュチが


手を差し出すが


手を借りる必要は無いと思ったのか、


ザファーはそのまま頭を軽く振ると


添えていた壁から手を外す


「Ну что-то есть в этом


 месте, Нет с тех пор


 как я вступил в ЗАТО


 я чувствую что-то


 странное.

(ま、確かに何かこの場所...


 いや、このZATOに入ってから


 何か変な感じがするっつうか....)」


「В чем дело?

(・・・何の事?)」


気の無い表情を見せている


アントン、そしてその周りにいる


ジュチ、ザファーにレベデワが振り返る


「Нет, Конечно кажется


 что Зафар говорит о


 чем-то глупом, Не то


 чтобы я поднимаю шум


 по этому поводу. Что-


 то немного странное.

(いや.... 確かに、


 ザファーが言ってるみてえに、


 何か頭が鈍いっつうか...


 別にそう騒ぐ程のもんでもねえがよ。


 何か...少し、おかしいっつうか...)」


「Согласно следственным


 материалам 104 Дача


 раньше была военно-


 исследовательской


 базой и там


 проводились различные


 эксперименты и т.п.

(・・・捜査資料によると、この104ダーチャは


 昔は軍の研究施設で、様々な


 "実験"等が行われていた、


 その様な話もある様だ....)」


「Джучи,

(ジュチ・・・)」


"ガラッ.... ガシャッ ガシャッ ガシャッ...."


瓦礫を避けながら少し歩くと、ジュチは


座りが良さそうな一段高くなった


錆びた金属の台座の様な物の上に腰を下ろす


「В то время война была


 в самом разгаре и


 ходят слухи что на


 этом объекте


 проводились


 бесчеловечные


 действия в качестве


 экспериментов для


 различных военных


 целей.

(当時、大戦の最中だったこの施設には


 様々な戦争目的の実験として、


 非人道的な活動をしていたなんて


 話もある...)」


「Об этом тоже говорят,


 Я не уверен?

(話もあるって... "確かでは無い"って事?)」


「・・・・」


座ったまま、ジュチが青い目を


レベデワに向ける


「Потому что это было


 100 лет назад, Так


 говорят материалы


 следствия,Может быть


 это правда может быть


 это не так,Я не знаю


 каковы факты или что


 происходит.

(100年も前の話だからな...


 捜査資料にはそう書かれているが...


 事実そうなのかも知れないし、


 そうでは無いのかも知れない...事実が何か、


 どうなっているかは分からない。)」


「Эй ты выглядишь


 удивленным Почему это


 такая глупость?

(・・・な~に、驚いた様な顔してんだよ


 どうせ、くだらねぇ事だろ?)」


「・・・・」


ソニェトの兵士の一人として、


既に何度も従軍の経験があるアントンには


何か大事(おおごと)を話している様に


見えているのか、アントンはジュチに向かって


見下した様な顔つきを見せる


「что угодно, на этой


 104 даче различные


 эксперименты над


 людьми,Стать


 военнопленными


 собирать заключенных


 и других людей


 называть их лечением


 и делать что-то вроде


 тестов. Похоже


 он был там

(・・・何でも、この104ダーチャでは


 様々な人体実験....


 戦争捕虜となって集められた囚人、


 その他の人間達を集めて


 "治療"と称し、テストの様な事を


 行っていた様だ...)」


「Хм,

(ふ~ん...)」


驚く話でも無いと思っているのか、


アントンはふらふらと視線を部屋の隅の方に移す


「согласно моим


 исследованиям на Даче


 104 военнопленные


 погибшие в ходе


 экспериментов в то


 время и заключенные


 до сих пор время от


 времени предстают


 перед госчиновниками


 посещающими объект


 вспоминая свою боль.

(・・・調べた所によれば、


 この104ダーチャでは


 その時に実験で亡くなった捕虜、


 そして囚人が今も時折、その苦痛を思い浮かべ


 この施設を訪れた政府職員の前に


 姿を現す・・・・)」


「В отличие от такого


 мертвеца, я чувствую


 себя намного лучше


 когда он жив и


 стреляет в меня.

(そんな死んだ人間なんかより、


 生きて銃を撃ち込んで来る奴の方が大分、


 気分も良くなるぜ)」


「・・・・」


アントンの言葉に、無表情のジュチの顔が


マネキンの様に固まる


「Я не верю в


 существование души но


 может быть,

(俺は、魂の存在は信じていないが


 もしかしたら....)」


「О, моя голова,!

(あ、頭が....!)」


「Зафар!

(ザファー....!)」


"ザシャッ!"


座っていた瓦礫からジュチが


すくりと立ち上がる


「В любом случае


 поскольку это место с


 прошлым в этом


 учреждении может


 происходить что-то


 странное что было бы


 немыслимо в обычном


 учреждении.

(・・・とにかく、"過去"があった場所だから


 何か、おかしな、通常の施設では


 考えられない様な事がこの施設では


 あるのかも知れない...)」


"ザッ ザッ ザッ ザッ ザッ――――"


「Джучи,

(ジュチ・・・・)」


"ブシュウウウウウウウゥゥゥ―――――ッ


「(・・・・)」


部屋の出口へジュチが向かうと、


出口の脇に置かれていた銀色のタンクから


水蒸気の様な煙が勢いよく


飛沫(しぶき)を上げながら噴き出す....


「104 дача,

(104ダーチャ....)」


"シュウウウウウウウウウゥゥゥ.....

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