第十話 「Бывший начальник бюро(元支局長)」

「―――ドウシタッテンダイ、


 ゴウナスワン...?


 マルデ、"タッケイ"デモミタヨウナ


 カオツキヲシテルジャネェカ・・・?」


「(こいつ・・・)」


"何でここにいるんだ?"


「・・・オイオイ、ソンナシンキクセェカオシテ、


 ムズカルコトハネエヨ?


 イマ、オレタチハコウシテ、


 コノバショ・・・


 コノ、ユキノダイチ、ニ、


 タッテルジャネェカ・・・ッ!」


「(コイツ――――、


あの、岩肌の前の激しい光の瞬間、


【テメェェェェエエエエエッ――――!?


 ・・・"ゴウナ"―――――ッ!?】


【スサケフスキっ!?】


"ビュオオオオオオオオオッ―――――、"


「(・・・・)」


何がどうなって、今この場所に


この男がいるのかは分からないが、


あの光の後、この岩肌の奥の場所で意識を取り戻すと、


そこには、打ち捨てられたかの様に置かれた防寒具、


様々な残骸...そして、このスサケフスキが


雪の上に倒れていた


「ヘヘッ――――、


 シラズベル....シラズヴァブ....ッ!」


「・・・お前、何でここにいるんだ?」


「――――エ、ナニガダイ?」


この場所にいる理由がまるで無いスサケフスキ。


「・・・いや、どう考えてもおかしいだろう....


 お前は、モスクワで仕事をしている筈で....!


 お前が、この場所にいる筈が無いだろう?」


「ヘヘッ―――


 カマワネェ...."カマワ"ネェヨ...


 ゴウナスワンッ――――?」


「(何で俺の後をついて来るんだ....)」


"シャカ シャカ"


「イヤア、サムイネエ....ッ、」


"シャカ シャカ"


「(・・・・)」


今、自分の目の前で、寒さのせいか


揉み手をしている藻須区輪亜部新聞社で


以前自分の役職である


支局長を務めていたスサケフスキ。


「(・・・・)」


この世界で意識を取り戻し、雪の上に


防寒具がある事を発見した河野は、


それを着込み素早くその場から立ち去ったが、


どこへ向かうにもまるでアテが無く


吹雪の中をたださ迷っていると、


いつの間にかこのスサケフスキが


後ろから後を尾けて来ている事に気付き、


特に話をする訳でも無く、


河野はこのスサケフスキとつかず離れずの距離で


しばらくの間雪の中を歩いていた....


「―――お前....


 何か、知ってるのか?」


「・・・サムイネエ....!


 ゴウナスワンッ、ヨォォオッ!?」


「(とぼけてるのか――――)」


"ザッ、!"


話をするのが面倒になったのか、


それとも、今自分が置かれている状況に


深く理由を考える余裕が無いのか、


答えにならない答えを


口から出すスサケフスキを見て、河野、は、


そのまま背を向けどこかへと向かって


歩いて行く――――


「(・・・・)」


"ザッ ザッ ザッ ザッ、ザッ――――"


「···Прошло...!

(・・・ゴウナ...ッ)」

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