第40話 友達として

解析消去マテリアルキャンセル…。それが本当だとすれば…」

彼女ミルキィに起動出来ない生成魔法陣は理論上存在しない。つまりは最高導師マスターソーサリス級の魔法使いだとも言える。それだけの魔導の才を持って尚、彼女は天才的な錬金術師としての実績を積み上げている」


 お館様モーガン=ケイン辺境伯から、お嬢様クラリスが友人と共に夏期休暇で里帰りすると聞かされたズオウ=ヤザンは、それが王都でも評判の今年初年度首席学院生ミルキィだと聞かされた。


「魔人族MIXだそうだが、どうやら魔族にかなり知り合いがおるようだとも」

「それは…、大いなる懸念ですね」

「とりあえず王国は、多少の懸念をスルーする事にしたらしい。今、余計な詮索をして彼女と敵対しては元も子もないからな」

「確かに。今ならば彼女は得難い味方です」

「陛下も仰っておられた。望む事は唯1つ。『リアンナの良き友人であらん事を』私の願いもそれだ」


 お館様の願い。

 今、解析消去マテリアルキャンセルを確認出来た。そして彼女自身に聞かれた。


「私の事、どれだけ聞き及んでますかー?」


 元々腹芸等不得手。

 真っ向から応えるのみ。


「その上で訊ねたい。貴女はお嬢クラリス様の友人なのか否か」


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 ミルキィの質問に、ヤザン騎士団長ジオのお父さんは実直に応えてくれた。


 隠していた解析消去マテリアルキャンセル。そして魔族との交流疑惑。


 子供相手に、こんなにも実直なんてー。


「それには即答出来ます!私はクラリスを無二の親友だと思っていまーす‼︎」


 かけがいのない友。

 それ以外の何者でもないよー!


「私もよ!ミルキィ‼︎」


 クラリス⁉︎ うん!ありがとう‼︎


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 後日。

 ケイン辺境伯より、内々の報告があった。


「陛下」

「やはり解析消去マテリアルキャンセルの才が実在したよ。彼女ミルキィ最高導師マスターソーサリス級であり、凄腕の天才的錬金術師だという事だ。そして辺境伯御息女クラリスの無二の親友だと」

「それは重畳。御息女クラリス殿はアロン王太子殿下の婚約者候補であり、アライズ殿下の幼馴染です。その方の無二の親友ならば、王国…王族に弓引く事は先ず有り得ないとみて良いでしょう」

リアンナに対しても『無二の親友だ』と言って欲しいものだが」


 それ位は期待してもバチは当たらぬであろう。

 そう言えば、クラリスはアロンの婚約者候補だったか?後1人いたな。フム、そうだ、セレンディアと言ったな。グラント公爵の令嬢だ。コチラもミルキィのクラスメートだったな。彼女が我が国を棄てる要素が減っていく事に、唯々女神サンディアに感謝せねばなるまいて。

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