夏期休暇頑張る!

第38話 クラリスの実家へ①

 学院へ入学し、なんだかんだで4ヶ月。

 色々あって、ホント慌ただしい今日この頃。

 ミルキィは、日課とも言うべき本日のポーション錬成を終えて、薬瓶を箱詰してる。


「凄い数。え?ミルキィ、こんなに購買部に納品してるの?」

「あ、違うよ。右の白箱は近衛騎士団納品分で、その奥の青箱は王宮魔導師団納品の魔力回復薬マナ・ポーションだよー。左の木箱分だけが購買部分」


 その木箱へ瓶を入れているのは従魔タラちゃん。何かブツクサ言ってんだよねー。


「箱詰する魔物蜘蛛って不思議。タラちゃん、働き者だよね」

「まさか。今だって文句タラタラなんだよー」


 シュシュシュー!

「ほらねー」

 このモンクが、私にしか判らないってのが問題なのかもしんない。皆の目には従順で可愛い蜘蛛と映ってるみたいだし。


 錬成数が増えてる分、手際も良くなってきたし、錬成レベルも上がって来た。お陰様で、今の私は一気に16の錬成生成陣を起動出来る。


 流石に異種陣を同時起動は無理だけど。

 まぁ、王宮は結構高く買い取ってくれる。小遣い稼ぎのレベルを超えてるので、錬成器具を上質の物に買い換える事が出来ているのも大きい。


「同種でも錬成生成陣を複数起動出来る時点でオカシイんだけど」

 呆れた感じで見てるのは、同じ初年度錬金術科のエリーとライザ。それに3年次のリムル先輩。

「流石は特Aクラス首席。凄いわ」

 エリーとライザは初年度Dクラス。

 リムル先輩は3年次Cクラスだ。錬金術科だと、この辺のクラスが普通?って言うか良い方らしい。B以上は殆ど騎士科魔導師科の独占場。


 その意味では、今年の初年度特Aクラスは錬金術科の私と神聖科の2人、商業科の3人に工芸科が1人いて珍しいみたいだ。担任ジャックセンセーは当たり年って各種カリキュラムを愉しげに作ってるけど、騎士科の教師にはあからさまに不平を言う人もいるみたい。「特Aに5人しか騎士科がいないなんてハズレもいいとこだ」って。

 2年次は12人/18人で3年次は10人/15人。残りは魔導師科。如何に今年のメンツがバラエティに富んでるか、わっかるよねー。

 だから最初は、私が特Aクラスにいる事、騎士科からは目の敵にされてた処もあって。

 でも1ヶ月程で収まって。まぁ、私が魔族と相対撃退したから。また王族留学を機に騎士科預りの身になり、現役近衛騎士と鍛錬した事により私は騎士科に一目置かれる様になったんだー。


 で、もうすぐ夏期休暇。

「ミルキィはどうするの?」

「クラリスに誘われてる。だからケイン辺境伯領で過ごそうと思ってる。迷宮ダンジョンもあるみたいだし、辺境って素材の宝庫だもん」

「残念。私達とビーチャ山麓に行って欲しかったのに」

 あら?其処も捨てがたい。

 大陸南西部に位置するレクサンダル王国は割と温暖な国。その中で寒冷地素材の宝庫と言えるビーチャ山麓は是非とも行ってみたいトコ。

「じゃあ、冬季休暇で」

「ダメよ。冬季のビーチャ山麓って氷庫って言えるんだから」

 あ、それはヤダ。

 表向き魔人族MIX、中身魔族の身体ステータスの私でも氷庫で過ごす気にはなれないモン。


「でも課題の擦り合わせに、休み明け前には会いたいけど」

「その前には帰って来るつもりだから擦り合わせ出来ると思うよー」


 確約して私達は別れた。


 購買部を通じて王宮へ各種ポーションも納品して、私は寮へ戻った。

 クラリスも帰って来ていて、私達は辺境伯領都ケインズシティへ赴く準備に取り掛かる。


 やっぱ、楽しみ~。

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