第22話 特Aクラスの迷宮探索④

「いよいよ明日で実習も最後ですか…。期待以上です。皆、素晴らしい」


 実習5日目が終了。

 明日で実習週間も終わり、1日の休息日を挟み、また新たな1週間が始まります。


 実習報告レポートの役割も兼ねている練習迷宮探索章。1人1人チェックしていくジャックは興奮を覚えずにはいられません。


「ウィルバルト…。やはり無茶しましたね」


 一方でミルキィへの対抗ライバル心を持つ事を諦めながら、それでもムキになって必死で喰らい付こうとする。その心意気は買うし、評価の対象ではあるのです。

 でも結果として彼は体力1の強制退場死に戻りが記録として残りました。ウィルバルトを失った第1班は、リタイアを選択して戻ったのです。これは班リーダーとしてはマイナス評価とせざるを得ませんね。


「トーマスは少し慎重に過ぎる様ですね。大事な事ではあるのですが、此処迄進捗が遅いと残念ながら失点評価としなくては」

 第2班は、全く進んでいない。それにアイテムの回収取りこぼしも見受けられます。安全策をとるのは良いのですが、遭難者探索等の依頼の場合、これでは救出対象者を失う事にも成りかねません。


「経験者の存在は矢張り大きい。ウィルバルトとトーマスは3学年次の先輩と組ませる必要がありそうです。ミルキィと組ませるのはちと酷かも」


 彼女を身近に感じては劣等感に苛まれるかもしれませんし、あまり彼女が特別だと思ってもね。コレも良くない傾向でしょう。


「その意味ではジオの割り切りは評価出来ますね。クラリスの従卒も兼ねている事がいい感じで彼の成長に繋がっているのでしょう」


 戦闘力はともかく、神聖魔法や守備補助の判断やパーティの纏め役等クラリスも1学年の学生としては飛び抜けています。彼女の護衛剣盾として、幼い頃から共にいて立ち回ってるのだから、ジオがパーティの最後尾盾役を担うのは最適と言えるでしょう。


 そして彼等パーティの適材適所を考えて隊列を組み、自らは先行して突破口を開き、または後方遮断や上空防護も熟すリーダー。

 素晴らしい状況判断力ですよ、ミルキィ。


 探索進捗も見事です。

 明日の最終日、第3班は15階層を、最下層をもクリア出来そうです。それも危なげ無く。

 全くの無傷等有り得ません。ミルキィも程々に怪我している様ですし。でも回復薬ポーションで済む程度の様だし、その分クラリスは支援に専念出来ている様ですし。


「知り合いを訪ねただけだったにしても、魔界への単独行を実践出来る訳ですね。魔人族が幼少の頃から冒険者稼業をすると、これ程迄に強く成れるモノなのでしょうかね」


 伝説の勇者パーティ。

 獣人戦士ガイラスも魔人族魔法戦士アッシュも老獪老練なベテラン冒険者で、若き勇者アレクを上手くサポートしていったとされてます。

 いつか、勇者の才を持つ者が現れた時、ミルキィはそのパーティにいるかもしれない。


 それにしても、中々育て甲斐のある新入生タマゴ達ですね。今年は大豊作だ。


 特にミルキィ。

 錬金術科か。基本タークに預けるのが残念です。私の魔法理論は、ミルキィは理解し発展も出来るかもしれないが全く必要がない。基礎としては錬成調合に応用出来るかもしれませんがね。

 クラリスも同様ですね。

 首席次席が魔法戦士じゃない年度は初めてと言っていいでしょう。


 成る程。

 ウィルバルトの焦りはこの辺かもしれませんね。通常ならば彼が首席にいてもおかしくないと言えるだけの才でしょうに。


「さて、明日の総括が楽しみです」

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