第16話 特Aクラスの迷宮探索①

「さて、班分けは決まりましたか?」


 担任ジャック先生が問う。

 ミルキィ達特Aクラスは、明日よりクラス実習として迷宮探索を行う。

 総勢16名を3グループに分けての探索。

 そのグループ分けを学級活動の時間を使って話し合っていたんだ。


 第1班

 リーダー:騎士科魔法戦士ウィルバルト

 メンバー:騎士科戦士マリク

      神聖科僧侶エバンス

      商業科商人シマック

      魔導師科魔法使いソリア


 第2班

 リーダー:騎士科魔法戦士トーマス

 メンバー:騎士科戦士ギレン

      商業科商人プリシラ

      工芸科細工師フィリップ

      魔導師科魔法使いカーター

      魔導師科賢者セレンディア


 第3班

 リーダー:錬金術科錬金術師ミルキィ

 メンバー:騎士科戦士ジオ

      神聖科聖女クラリス

      商業科商人サーモンド

      魔導師科魔法使いベンジャミン


「何で私がリーダーなの?こういうの、男子でしょー?」

「首席差し置いてリーダーやれるかよ!それに主戦力!しかも冒険者としてもベテランだろーが」


 ジオの捲し立てに皆が頷く。


「ベテランはしょーがないとして、主戦力っておかしくない?」

「大鎌持ってるお前に、騎士科の誰1人勝てないだろーが!」


 このクラスに騎士科は5人。

 つまりは今学年騎士科のTOP5。

 で、私に勝てない。


 …不本意だけど、今年度新入生で私が戦闘力でも首席な訳だ。まぁ、新入生唯一の魔人族っての加味しても…、騎士科、情けなくない?


「あ!言ったな⁉︎とーとー言っちゃいけねぇー事言ったなぁ‼︎」


 しまった。騎士科の男子、この事気にしてたとは?いちおーフォローしとくか。


「ホラ、魔人族のアドバンテージ、かなり大きいと思うよ。だから気にしない、ね」


 結構魔族に準じた身体ステータスなんだから同い年の人族に負ける筈ないんだよねー。

 剣技とかじゃなくてさー。単純に腕相撲してもクラスの誰にも負けない自信あるよー。


「さて、君達に行ってもらうのは学院内の迷宮です」


 勇者パーティの大賢者で学院長のお母様ティアラ様が創り上げた練習用迷宮。

 入る者の練度実力に合わせて形や階層、難易度を変える不思議な迷宮ダンジョン

 特Aクラスが試す時は、やっぱ難易度ランクAとかなり難しくなる上に10階層と初っ端から2桁階層となる。

 ちなみに最終年度特Aクラスが挑む時には48階層になった記録があるらしい。最終的には超えたいよねー。

 此処に出る魔物は、ティアラ様の魔力が生み出す擬似魔物。強さや能力、行動パターン等は本物と変わらない。が、どれ程強い攻撃だとしても私達の体力1は残り、即死相当と判断されたら強制送還されて迷宮入り口に戻る事になってる。

 この辺、練習迷宮だし、また不思議の迷宮って名もしっくりくるよ。


 入り口には『癒しの泉』があって体力魔力に傷も回復出来る。また各階層に1室、休息回復室も準備されてる。

 また入り口の水晶球に探索章を提示すると探索章に現在の階層、難易度、死に戻り回数等が記録され、それが成績に反映される事になるんだ。


「第3班に首席トリオが固まるのってズルくないですか?」

「それらを全て加味して迷宮は生成される。ミルキィ達が固まっていても何らハンディにはならないと思うよ」

 ジャック先生も、この質問は想定してたみたい。

「それに迷宮探索はコンビネーションがモノを言うからね。だからこそ君達自身に班分けを任せたんだ。私が実力だけで平均的に選考しても、多分実力は発揮出来ないだろうからね」


 ホンワカしてるだけに見えて、ジャック先生も特Aクラスを受け持つだけの事はある訳だ。先生も騎士科出身の魔法戦士で、当時の首席だったって。コレは同期で錬金術科担当のターク先生からコッソリ聞いた話。

 そう言うターク先生も次席卒業らしいから、私の担任、ティオーリア学院長はかなり考えてくれてるんだーって思うんだー。


 それじゃ、リーダー、頑張ってみよーか。

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