第18話 Clock-14

 目を覚ます。

 カーテンの隙間から朝日がこぼれている。


 英治は、ベッドの中でスマホを取り出し(普通のスマホである)ニュースをチェックした。

 もちろん、ビルから飛び降りた女性のニュースは掲載されていなかった。


 次に、アプリを立ち上げて昨日怒ったことを簡潔にメモしていく。



 このアプリの情報を、昨晩確認してから出かけたのだ。

 借金の金額・・脅されたが、危害は加えられなかったこと。


 それらすべてを事前に知っていたことで、動揺することもなく対処することができたのだった。


 過去の自分に対し自ら情報を残す。

 因果の関係など、どうなるのかよくわからない。

 これも謎の一つである。

 



 今日はもう一つやることがある。


 ベッドから起き上がり、勉強机に向かう。

 もう一つのスマホを引き出しから取り出し、電源を入れる。

 フィイイイイイ・・・・

 ファンの音とともに、画面が表示される。


 さて・・・と



 たった五分のタイムリミットぎりぎりまで調べる。

 そして、その情報をもとに松下楓にメールをした。




 なんだかんだと時間がかり、学校に行くため家を出たのはぎりぎりの時間であった。

「あ!おはよ!英治兄ちゃん」


 隣の家から、これまた通学と思われる美緒が出てきたところであった。


「おはよ、じゃあ急ぐから先に行くからね」

「え~!途中まででも一緒に行こうと思ったのに!」

「ごめんごめん、遅刻しそうだからもう行くよ」


 笑って手を振った後、英治は走り出した。

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