9. 妹。

16時になった。

長い長い一日がやっと

16という数字まですすんだ。

妹が帰ってきた、ドアの音が聞こえた瞬間

トイプードルが2匹、吠えた。

吠えた声が頭に響き、イラッとする。


憎たらしい妹、大っ嫌いな妹。

あの子だけ愛されて大事にされる。

私と違って元気な妹。

…私の居場所を奪った妹。


でもね、、

自分の好きなお菓子でも私にくれる

とっても優しい子。

笑顔が良く似合う可愛い子。

友達が沢山いる人気者の子。

本当は大好きなんだよ。


いつも冷たくあたるけど、その度に心が痛い。

優しくしたいけど出来ない不器用な私。

ごめんね。


…妹がランドセルをソファーに投げて、

お菓子の封を開けた。

そして私にくれた。私は無言で受け取った。


そのお菓子は私の好きなお菓子だった。

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