第51話 特別編。JKエルフちゃんの模擬結婚式

「えへへ」

「どうした、そんなにニヤニヤして」

「だって、結婚式ですよ結婚式」

「ま、まあな」


 五月。一周年の転移門見学から日本に戻ってきた。

 そこで近所にある結婚式場の前をみんなで通ったところで声を掛けられたのだ。


「みなさん。模擬結婚式とかご興味ありませんか?」

「え、私たちが結婚式……きゃっ」

「わわわっ、私……」

「お兄ちゃん、結婚式!」


 エルフであるララちゃん。

 幼馴染のハルカ。

 そして妹のエリカ。

 三人とも目を丸くして、お互い視線を合わせる。

 揃って俺のほうを見つめてくる。


 目がうるうるしてる。う。並んだ六つの綺麗な瞳に吸い込まれてしまいそうだ。

 俺はこういうおねだり視線にはめっぽう弱い。


「分かった、分かった。、結婚式な」

「「「わーい」」」


 三人が万歳をした。

 ということで日曜日の今日。ワイのワイのと騒いで式場に行った。


「どれにしましょう」

「私ね、ウェディングドレスはミニスカートですぅ」


 ララちゃんはちょっと前の女子高生みたいなミニスカートがお好きだ。

 白くてすべすべの綺麗なおみ足はとても映える。


「景都どうかな。私もミニスカートで」

「じゃあ私もっ、ね、いいでしょ? お兄ちゃん」


 というふうに三人揃ってミニのウェディングドレスとなった。

 純白でヒラヒラした衣装はとてもかわいらしい。

 胸の上のデコルテが露出していてなんというか色気があった。

 特にララちゃんのおっぱいはボリューム満点だ。

 そしてギリギリを責めるミニ丈のスカート。すらっと見える生足。

 三人とも頬を染めて、俺にどうだと見せつけてくる。


 とてもかわいい。


「写真、撮っていきますね」


 パシャ、パシャパシャ。


 フラッシュが焚かれ彼女たちが写真に収まる。

 俺も真ん中で白いネクタイの紳士服を着て一緒に撮られていた。


「えへへ、なんだかこういう格好するとケート君も立派に見えますぅ」

「だろだろ」

「まったく、あの普段ぼうーとしている景都がこうも立派になって幼馴染も感動です」

「まあな」

「えへ。お兄ちゃんはどんな格好しても似合うから大好きっ」

「おおう。妹は俺をよく分かってる」


 前もってクラスの連中にも連絡したら、みんな面白がって参加してくれるということになった。

 将来何組が結婚するか知らないが、結婚式場側も早いうちから顧客確保をするのは悪いことではない。


 チャペルに移動して愛を誓う。


「永遠の愛を誓いますか?」

「誓います」


 まず俺。


「誓いますぅ」


 元気にララちゃん。


「誓い、ます」


 真面目顔でハルカ。


「誓いますっ」


 元気な笑顔でエリカ。


 チュッ。チュッ。チュッ。


 順番にキスをこなす。

 誰か分からないが、ふわっといい匂いがする。


 それから以前に誕生日プレゼントであげたシルバーの指輪を使って指輪交換をした。

 この日のために俺と妹の分の指輪も新調してある。


 左手の薬指に指輪を嵌めて、女の子たちは頬を赤くする。


「「「おめでとう」」」


 クラスメート達から祝福の嵐が俺たちを包む。

 こうして四人でバージンロードを通ってチャペルの外へ出ていく。

 外に出るとみんなが移動してきて外に集まった。


「はいっ、ブーケですぅ!!」


 ララちゃんがブーケを投げる。

 クラスメートの女子が両手でがしっとブーケをキャッチした。


「わわわ、私ですかっ」


 おおお。リンカちゃんだ。赤い眼鏡でセミロングの黒髪は文学少女風だ。

 まだ清純そうな幼い顔がかわいらしい。


「よっ、リンカ、相手は誰だ」

「えっ、ええ……トール君」

「トールお前、よかったな」

「いつの間にデキてたんだよ」

「いや、俺自身初耳なんだが」


 トール君こと「徹」がリンカちゃんと並んで顔を真っ赤にしていた。

 どうやら新カップル誕生らしい。


「「ひゅーひゅー」」


 リンカちゃんがトール君に背を一所懸命に伸ばしてキスをする。


「「「うぉおおおお」」」


 どうやらお熱いようで。

 トール君とは元々図書委員関係で付き合いがあって、お互いいいなと思っていたらしい。

 まったく、いいなぁ、そういう青春。


 俺たちも感化されてもう一回軽くチュッとキスを順番にする。

 もちろん目ざとく周りの子たちが見つけて、囃し立ててくる。


 この模擬結婚式。宣伝のイベントで無料なのだが、お食事が出る。

 ちなみに仏滅だったりする。予約が少なく、この日は仕事にならないのでこうやって赤字覚悟で宣伝をしているのだ。

 六月のジューンブライドを前に結婚式場側もキャンペーンに必死だ。


 会場を隣の披露宴会場に移動して食事会になった。


「このエビ大きぃ」

「こっちの肉もうまい」


 料理は和洋折衷のいいところどり。

 ご飯だけど、大エビの酒蒸し、牛フィレ肉のステーキ、コンソメスープ、サラダ、揚げた麺を使った創作餡かけ、桃のタルト、というふうな感じのコース料理だった。

 どれも抜群にうまい。

 特にこのステーキはシェフ自慢の最高級和牛でとろけるほどだった。

 大エビ。イセエビだよ、初めて食べた。


 食事の途中、エルフのララちゃんが来てからの一年間の振り返り映像が流れた。

 妹のエリカが入院していてパジャマだったのが元気になってきて洋服になり、さらに高校のセーラー服を初めて着たシーンなんて感動ものだった。

 巨乳ワンツーのララちゃんとエリカのツーショットのバストアップも圧巻だ。

 楽しいこと。悲しいこと。うれしいこと。辛かったこと。

 いろいろなことがあった。


 花嫁さんが三人いる珍しい模擬結婚式と披露宴はこうして大盛況で終わった。

 みんなと結婚して楽しく過ごしたい。

 今回は模擬結婚式だったけど、是非本当に結婚できるなら結婚したい。



□◇□───────────


ここまでお読みくださりありがとうございます。

ここで約10万文字を越え無事に作中一周年を迎えましたので、第一章完結で一度筆を置きたいと思います。

カクヨムコン8参加作品です。

たくさんのブクマ、★、ご支援、重ねてありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【10万字完結】留学生は同棲JKエルフちゃん ~地球の常識と違うようでぐいぐい迫ってくる~ 滝川 海老郎 @syuribox

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ