獣と少女にハズレ無し。だがそれだけでは語れない

夏の白夜と冬の極夜を繰り返す寒冷地帯の島を舞台に物語は展開される。
注目すべきは2点だ。(1)キーアイテム_白夜灯と呼ばれる特殊な蓄光機、(2)北国グリフォンのアルヴァである。

この2点は舞台となる小島から少女が旅立つための制約多きジョーカーとして機能する。蓄えた陽光を極短時間しか放てない白夜灯、どこまででも行ける翼を持ちながら、枷で制御されるアルヴァ。どちらも不自由さの枷を与えられた自由さの象徴だ。

この2点を軸とした回想と思考を経て、主人公の少女はあの吹雪の島から旅立つ決意をするのだが、詳細はぜひ本文を読んでほしい。



本作は得た着想をあるがままに書きなぐり、粗い線で輪郭を描いたものという印象を受けるが、それが却って本作の世界観を構築するのに寄与している。読後からずっと、頭にあの光景が残り続けている。

このレビューの作品

白夜灯