1.5

 どれほどの時間が経過しているのだろうか。

 転移中の世界で、時間の経過など無意味であった。

 現実という、肉体と精神が繋がれた世界でなければ、生きようが死のうが関係ないのだ。全ては、自我が、あるか、ないか。コジト・エルゴ・スムだ。


 ――いや生きてさえいなければ、それさえどうでもいいのかもしれない。


 ときどき、このまま目が覚めなければいいとおもう。

 現実は辛苦の連続で、肉体的にも精神的にも苦痛を伴う。生きるためには、何かの生命を奪う必要もある。

 宇宙という過酷な世界で、生命を育てるのも無謀だ。太陽の光が降り注ぐ惑星でも、限られた資源ゆえに諍いは生まれ、天候の変化で命も奪われる。


 幸福を求めて夜が続く世界へ向かっても、あるのは虚無ばかり。


 人が生きる理由を知りたかった。

 なぜ、時間を有する四次元で命を紡いでいかなければならないのか。

 かつての偉人たちは、その解をもっていたのだろうか。

 とりとめない疑念を抱いた矢先、意識がまた途絶えた。

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