歌う樹に続く想いを

煌パァ

歌う樹に続く想いを

 今年1番の冷え込みのため、本来人で溢れる住宅街はからんと寂しく風だけが通り過ぎていく。


 最近この街に引っ越してきた遠張とおばる 理乃架りのかは、普段とは真逆の雰囲気に戸惑いながらも隣接した高台の雑木林を目指す。


 先日ばっさりと切った髪は、寒さの中では無いに等しい。細身の体がわからなくなるほど着込んだはずなのに、震えは止まらなかった。


(寒っ。でも、今日しか余裕ないんだよ⋯⋯)


 彼女は音楽系の専門学校に入学してもうすぐ一年になる。人より貪欲に、無駄な時間を徹底して削りその道に励んだと言い張れる。しかし、成績はあまり振るわない。動画投稿サイトで自作を投稿しても再生数は底辺と呼ばれるそのもの。


 そんな現状を打破するべく、彼女は藁にもすがる思いで噂の場所にたどり着いた。


“雑木林にある大きな樹から、誰かの歌声が聞こえる”


 買い物帰り、たまたま耳に入った子供達の噂話。課題をこなした後、必ず行こうと決めていた。


 頼りない日差しの中、彼女は雑木林を早足で探索する。視界に入る木々はどれも似た大きさのものばかり。


(最悪、馬鹿なことをした。ほんと何をしてるんだか)


 自分の行動に呆れた理乃架は、そのまま住宅街に出ようと方向を決め歩く。上り坂を早々と過ぎていき、町に出る階段を探していると、ポツンと孤立した木が目に入った。今まで見た木々より大きく立派に街を見下ろしていた。


(でっか。こんな端に⋯⋯)


 緑はなく、本体が剥き出しになっている。彼女は珍しく思い、まじまじと見ていた。


 冷たい風が一気に吹き抜け、静かになった空間にそれは聞こえた。


『⋯⋯ちぞら〜むけ⋯⋯』

「⁉︎」


 視界に意識を集中していたため、彼女は突然耳を刺激した音に驚いた。ひどい動悸のまま路地につき必死に走って帰宅した。


 それからしばらく経ち、理乃架は自分の見慣れた足場のない部屋で落ち着きを取り戻した。


 結果を出せなかったを見て、彼女は先ほどの出来事の認識を変える。


(あれ、噂の“歌声”なのでは? ものすごいチャンスなのでは?)


 元々半分理想の中に生きていると自覚している彼女は、不思議な出来事にある程度の耐性はついている。


「通おう。そして新曲の参考にしてやる」


 野心が恐怖を焼き切った。


 それから彼女は毎日その木の元に通い始めた。現状を打破する曲作りを思うと、この行為に無駄を一切感じなかった。


 ほんの数秒だけ聞こえる“歌声”の音程を、メモしては帰る。メモした楽譜を見て心が満たされる日が数日続いた。


 その日も理乃架はメモを取るために大きな木の前で待ち構えていた。


(今日はどんなフレーズを発する?)


 心躍りながら耳を澄ましていた。


『⋯⋯愛した〜あなた〜⋯⋯』

「⋯⋯え」


 体がぴたりと止まった。その木の“歌声”に意味のある言葉が発せられたことが意外だった。


(偶然? それとも、これまでも意味のある言葉があったかもしれない)


 その日から、彼女は“音”ではなく“内容”を聞き取るために通いつめるようになった。


 バラバラの単語から、音のつながりを参考に並べ直す。隠された姿を少しずつその手で暴いていく。音楽作成とは関わりのない行為だが、綺麗に意味がはまった時に感じる胸の暖かさが心地よく、より一層“歌声”にのめり込んだ。


 ある程度聞き取れたと判断した後、“歌声”の声質が気になるようになった。途切れる数秒の声をよく覚えて、脳内でひと繋ぎにする。


 その言葉の意味を踏まえて彼女は感じたことをメモ帳に勢いのまま書き記した。


【美しい、儚い、切ない、音量的には小さめだが音質はとても響く】


 彼女は、学業の後半は誰かの音楽を聴いても嫉妬と焦りしか感じなかった自分の変化に、驚きとともに穏やかな気持ちになれた。


(もっと知りたい。この歌に何が込められているのか)


 これ以上はどうにもならないと感じた彼女は、スマートフォンの連絡先一覧を眺めた。



 少し暖かさが帰ってきた休日の昼間。外の席に座り珈琲を口に運ぶ理乃架に声がかかった。


「おひさ、リノ」

「クミ、ほぼ一年ぶりだね」


 名前を呼ばれたシンプルな服装に身を包む女性は、向かいの席についた。


「こうして顔を合わせるのは卒業旅行以来ね」

「突然ごめんよ、クミはいろいろ詳しいからさ」

「いいのよ、嬉しいからね。リノは気づいてないんだろうけど半年以上、やりとりは私からだったから。少し不安だったの」

「え、あ、本当にごめん」

「返信も余裕の無さ滲み出てたし。むしろ時間を作ってくれるほどの変化が最近あったのね?」


 理乃架は自身が周囲に対しての意識を狭めていたことに気づき恥ずかしくなった。同時に、以前にもまして把握する力が増した友人に大きな安心と期待を向けた。


 早速、記した樹から聞こえる歌の歌詞を見せた。


『あかがみひとつで けされたひ

ことばをあいした あなた

かたちにのこらないからと

あおいやね まどにはあかいき

いちぞらむけ しはふせ


むいみとわらわれ なくしたひ

まなびにはげんだ あなた

ときはどんどんすぎていき

あおいやね まどにはあかいき

ごのてんちに ふたおせ』


 クミは一通り目を通した後、自身の考察を語った。


「赤紙といえば、戦時中の“召集令状”が思い浮かぶわね。戦場に行く命令のやつ」


 背景が浮かんだ後はスラスラと推測が浮かんだ。


「戦争にかりだされた“あなた”を想った歌かな。想い人の姿が、日々が、だんだん色褪せていくことの哀しみを訴えてるような気もする。『残らない』、『時はどんどん』ってとこからね」


 それぞれの節4行目までは考えがまとまった彼女だったが、そのあとは曇らせた表情を理乃架に見せた。


「『いちぞらむけ しはふせ』、『ごのてんちにふたおせ』。唐突なんだよねー。『位置空向け、詩は伏せ』⋯⋯絶対違うな。『後の天地に、歩倒せ』⋯⋯うん、意味わかんないし、つながりもない」


 互いに色々な仮説を立てて進めていたが、結局納得のいく答えは出なかった。


「リノ、私ギブだわ。もうこれ以上は思い浮かばない」

「ありがとう、クミ。だいぶ見えてきたから十分」

「いやー、謎を解けないのはなんか、こう! モヤモヤが残るよね。よし、気分転換よ。この町を案内しなさい! それで今日はWin-Winってことにするわ」

「分かった。ちょっと歩くけど」


 理乃架は“歌う樹”のすぐ近くにある、町一体が見渡せる公園に連れていくことにした。


 道中はクミが気になるところをその都度指摘していった。その場で検索して由来を知り、しみじみと感じたものを言葉にする。予定よりだいぶ時間がかかったが、彼女たちはとても充実した日を過ごせたと満足した。


「実は私も、あまりここから町をしっかりと見たことはない」

「そうなの? じゃあちょうどいい機会じゃない。あぁ、普段は大きく感じるものがちっちゃい群れみたいに見えるの、なんかいい気分だわ〜」

「わかる、ちょっと偉くなった気分になる」

「そうそう、なんか色々なものがこんなものかー、って思えちゃって、小さな曇りも吹っ飛ぶよね」


 高所にいるからこそ感じる少し冷たい風に、羽織っただけの防寒着がひらひらとなびく。


 理乃架は防寒着が飛ばないように微調整して、再度顔を上げる。ちょうど視界の真ん中に、一つの豪邸が映る。


 住宅街から少し離れたところにある大きな和洋折衷の建築。青い屋根がとても目立っている。


 彼女はふと、“歌詞”を思い出す。あの歌にも“青い屋根”という言葉が入っていた。


(関連、あるのかも)


 ずっと視線を変えない彼女のことが気になったクミはその先を見て納得した。


「坂久保邸ね」

「知ってるんだ」

「有名よ。ファッション界を担う企業の代表格。その会社の起業者がかつて住んでいたところ。今は寮兼資料館みたいになってるはず」

「へぇ」


 理乃架は坂久保邸について興味が湧いた。直感で“歌詞の真意”が隠されているような気がした。



 次の日から、坂久保邸について色々調べてみた。


 大戦が終わって数年後。今の広さからは想像できないほど、小さな青い屋根の家として建った。そこから持ち主である起業者の女性が、企業と家を大きくしていき、今残っている形となった。それから時が経ち、後継者争いでいざこざが起きたあと、今の『寮兼資料館』としての運営方針にしたとされている。


 また、そこの展示物は年々増やしているのだが、唯一展示を中止したものがある。特殊な扱い方をしないと蓋が開かないサイコロ型の『カラクリ箱』だ。少し前までは、この箱の解除を試みる人たちに触らせることもあったのだが、盗難未遂事件が起きたためやむを得ず公開を止めたようだ。


(青い屋根、謎の単語。繋がる可能性はわずかでも⋯⋯行ってみるしかない)


 理乃架は、歌詞をメモした手帳を片手に訪問することにした。


 木々は少しずつ新たな緑をその身につける準備をしている。若干強めの風を耐えながら、なんとか坂久保邸に辿り着いた。


「ごめんください、お電話した遠張 理乃架です」

「はーい、見学とお話しですよね? どうぞ中へ」


 20代半ばの女性が顔を出す。彼女は今、この屋敷の管理を任されている起業者の子孫にあたる人物だ。ただ、起業者である女性は養子をもらったため、血のつながりは無い。


 展示物の案内を受ける。起業者の苦労や打開策、使用してきた品々やファッションデザインの制作案。記された起業者の軌跡。


「まだほんの一部しか展示しきれていません。いずれは我々一族の歩みをより細かく知っていただけるように、激動の時代を乗り越えた人々の生きる力を感じていただけるようにしていきたいものです」


 わずかな物からも感じる熱意と努力の跡。違う時間を過ごしたはずの人物が、今そこにいるような感覚を味わった。


 理乃架は奥の面会室に案内された。運ばれた煎茶は温かく、飲むと緊張が和らいだ。


「では、早速ですが、ご用件を伺っても?」

「はい、実は⋯⋯ある付き合いから、不思議な詩を教えていただきまして。中に“青い屋根”という単語が含まれており、もしかしたら関係あるのではと。その詩がこちらです」


 人に見せる物だと、気合を入れて丁寧に書いた“歌い樹”の言葉。


 管理者はその詩を見ると、初めは驚きの表情で、そして次第に目元に涙を浮かべ、震えていた。必死に落ち着こうと深い息を吐いて、来客に顔を向ける。


「あなたに教えた相手はどのような方ですか?」

「あ⋯⋯」


 流石に“歌う樹の歌詞を書き取りました”とは言えないと思い、嘘の経緯を咄嗟に話したことを後悔した。


 意を決して、ありのままの出来事を話す。


「おかしな人と思われるのが嫌で。すみません。本当は、町で噂の“歌い樹”を見つけて、そこから時々聞こえる歌声を紡いで⋯⋯あはは」

「樹⋯⋯! そう、ですかっ⋯⋯!」


 さらに身を震わせた管理人の様子に、彼女はただただ困惑して見つめる。


「少し、お待ちください、ね」


 管理人は席を立ち、どこかにいってしまった。待つ間、幾つもの施錠が解かれる音が聞こえてきた。そしてバタバタと戻ってきたら彼女の手には、少し大きめのサイコロの目がついた木箱があった。


「それ、は」

「数年前まで展示していた、起業者さまの“宝箱”です」

「ど、どうしてそんな大切なものを」

「あなたが記してきたその歌は、この箱の解除方法のヒントでもあるのです」


 何が起きたかわからず焦る理乃架に、管理人はこの箱についての話を明かすことにした。


「とても恥ずかしい出来事なので、口外はしないでくださいね」



 宝箱の持ち主の名前は坂久保さかくぼ てら子。彼女は最期に、自作の詩と大切な宝箱をずっと大切に継いでくれと言葉を残し亡くなった。


 血のつながりはなくても、大切な母の言葉。養子である少女は早くに旅立った母の努力をさらに立派に、揺らぎのないものにした。そして家庭を築き、いつかは母の願いを次に託そうとしていた。


 しかし、夫側の一族が坂久保邸の全てを乗っ取ろうと計画していたことが明らかになる。母の遺産をさまざまな所に売り、多額の利益を得ようと動き出していた。


 彼女が母から直接もらい、大層大切にしていたカラクリ箱は真っ先に狙われる。跡取りにと考えていた長子はすっかり父方に染められている。


「こんなみっともない人たちに、奪われていいものでは無いのよ!」


 彼女は母が書き残した詩の一部を黒塗りにして破り捨てた。そして父方の一族もろとも縁を切り、残った長子以外の子供達に母の遺言と詩の一部を語り継いだ。


「誰かにないがしろにされるくらいなら、開け方を封じる方がマシです」


 その宣言通り、彼女は誰にも解除方法を明かすことなくこの世をさってしまった。



「詩の紛失理由がみっともないと、祖母はこの話を管理者候補であった私にのみ伝えています。はい、間違いありません。消された部分以外全て一致していますから」

「そう、ですか」


 人の欲望が大切なものを飲み込もうとするこの話は、理乃架に深く刺さった。


(私も同じだ)


 彼女は、ここ一年の自分を恥じた。目先の名誉と評価に取り憑かれ、自分のことすら見失っていた。自身が好きになった音楽は、始まりはこんな形ではなかったと思い出す。


 一区切りついたところで、残りの疑問を投げかける。


「“歌い樹”の話、すんなりと受け入れてくださったようですが、なぜでしょうか」


 管理人は箱から手を離し、膝上に乗せて握りしめながら話す。


「てら子さんにとって、特別な場所だったのですよ。祖母は断片的にしか話してくれませんでしたが。大切な方と出会い、別れ、待ち続けるとき、必ずそこに向かわれていたようです」


 てら子の想いは、今もそこに留まり続けているかもしれないと語る管理人の切なげな顔は、彼女に一つの決意をさせた。


「管理人さん、箱はどうしますか?」

「一緒に解除してみましょう。あなたには見ていただきたく思いました」


『いちぞらむけ しはふせ』

『ごのてんちに ふたおせ』


 カラクリ箱はサイコロの目の窪みが刻まれている。ただ、押せばいいと言うものではなく、さまざまなカラクリ箱を調べたら、転がすことも解除に繋がる手筈の可能性も出た。


 継がせたいものにそこまで難解な意味を持たせるとは考えにくい。


 サイコロの目の数字と仮定して、訳してみる。


『一そらむけ 四はふせ』

『五のてんちに 二たおせ』


 一の面を空に向け、四の面が下に伏すように傾ける。次に五つの点がある面を下にする。二の面が上に来た。管理者は二つの窪みに手を入れる。


 すると、窪みはしずみ、上の面が外れた。


「外れた!」

「中身を確認しますね⋯⋯!」


 そこには、三品が眠っていた。


 ひとつめは木製の髪飾り。不恰好な部分が目立つので、手慣れない人の手作り品である可能性が高い。


 ふたつめはたくさんの紙の束。管理人はその字を見て首を傾げた。


「この字、てら子さんのものではないですね」


 彼女は数枚中身を読む。


「何かしらの物語や、詩的なものだと思います」


 みっつめは、一枚の紙。その字は、てら子のもので間違いなかった。


 内容を読み終えた彼女の顔は、再び溢れる感情をあらわにした。


「あの、管理人さん。何かわかったのですか?」

「ええ、かなり近いところまで推測はできたと思います」


 3枚目に書かれていたものは、てら子の想いだった。


『あなたは遠くに連れて行かれて。きっと誰もが忘れてしまうのでしょう。そんなこと耐えられません。無下にされたあなたの命の尊さを、私は示していきたい』


「てら子さんは、この紙の束を作成したどなたかのことを、ずっと伝え続けたかったのでしょう。祖母も答えたこの想い。ええ、私の番ですね。さらにできることがあるでしょう」


 管理人は、今回明らかになった宝物を大切に保管するとともに、記された内容をなんらかの形で広く世に公開できるように努めると話した。


 理乃架が坂久保邸を出る頃、赤い夕日が住宅街の高台を照らしていた。そこから見える“歌い樹”は、綺麗な赤色に染められていた。



 温かな日差しの下、多くの命が芽吹きのよろこびを奏でる昼間。大きな木の下に、ギターを背負った1人の楽曲作りが訪れた。


「あなたがきっかけだった」


 彼女は不気味な噂を抱える大きな木に向かい合い、ギターを軽く鳴らす。


 自然と表情が微笑む。少しだけ抱える不安は、強い目的には敵わない。


「あなたは届けと今も願う。あなたの届けたかったことはきちんと継がれると思う」


 喉の調子を整える。見渡す限りの新たな始まりが、鼓舞しているようにも感じて、より自信がみなぎる。


「私はあなたのように、何かを伝えることができる、そんな力のある音楽を生み出せるようになる。なってみせる。でもその前に、あなたに、どうしても聞いてほしい。あなたに伝えたい。あなたの歌の、答えの一つになっていればいいのだけれど」


 深く息を吸う。鼻に広がるわずかな緑の香りが、気持ちを切り替えた。


「まずはあなたに届けたい。歌うね。『つづくもの』」


 ギターが奏でる優しい音に乗せて、思いを込めて歌う。


『田畑見渡す 丘の上

あたりと同じの さえない木

愛しい姿忘れないと

待ち続けてきた 人の影


ほろりと消えてしまいそうな

想い人の証

在りし日を示すには

雨の一粒を拾うほどで


伝え続ける

届けと願う

消えた温もりを知る者は

強く生き抜く

残り続ける

時の早さに負けないよう


住宅街の 丘の上

ここらで一際 大きな木

聞いた話心を馳せて

今日も立ち入る この私


ここまでずっとあり続けた

紙の束と飾り

幾多の日を跨ぐには

とても難しい品物たち


伝え続けよう

届けと願おう

遠いいつか煌めく命

今も歌って

明日も歌って

時の中深く刻みつけ


激しい光は時々出て

目をくらませてしまうけど

失わない

忘れない

小さくても続く輝き

あり場所標して


伝え続けよう

届け続けよう

私もいつしか止まるけど

次の時代ときへと

さらに先へと

いつも色褪せずつづくもの』


 ギターの音色を強く鳴らし、その響きが消えるまで雑音を出さないように動きを止めた。


 理乃架は彼女に対して抱いたものを出し切った。ふうっと一息ついて樹に視点を合わせる。


 少し強めの春風が視界を阻む。やっと少し開けた視界に映る、1人のもんぺをきた少女の姿。


 少女は涙を滲ませた瞳を細くして、満足げに口角を上げた。


 日差しがちょうど樹の上に差す。


 少女の輪郭は、木漏れ日の中に消えていった。

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歌う樹に続く想いを 煌パァ @kiramekipa

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