王子様は暗殺者

ザイン

第1話 平和な国の王子様

この世界は『トランプワールド』。『スペード帝国』、『クローバー連邦』、『ダイヤ共和国』そして『ハート王国』という4つの大国が治める世界。この世界では『トランプマウンテン』と呼ばれるこの世界の中心にある山の頂きにある『ポーカーコア』と呼ばれるこの世界のエネルギーの源を周って各国が競い合っている。


そんな世界の一国『ハート王国』に生まれた私『アリス』は遂に幼い頃からの夢を叶えようとしていた。


「あのー」


私は門番さんに声をかける


「お嬢さん。ここは関係者以外立ち入り禁止なんだけど」


「従者を募集していると伺ったんですけど」


「おっ希望者?こっちで手続きね・・・・・アリスちゃんね頑張って」


「ありがとうございます」


なにか厳しい試験を想像していた私は不思議に思いながらも門を潜った。


「ここが『ハート王国』のお城!!」


ハート王国の王族が住むお城『ライフル』


「ついに、あの方にお会い出来る!!」


私は意気揚々と扉を開けた。


「御免下さい!」


「貴女がアリスさんね。私は『オーロラ』この城の身の回りの事についてはなんでも聞いてね」


「オーロラさん。よろしくお願いします」


オーロラさんに早速お城内を案内して頂き、私はついにその時を迎えた。


「王子。入ります」


扉を開けると、若い男性が滑らかに筆を動かし書類を片付けている。


「オーロラさん。お疲れ様です。この娘が?」


「はい。アリスさんです。今日から王子のお世話係を勤めてもらいます」


「そうか、君が。『ハート王国』のフィリプ皇太子です。よろしくねアリス」


「はっ、はい!よろしくお願い致します。王子」


そう!私はこの国の王子様の側付きになったのだ。


フィリップ皇太子。『ハート王国』の現在の王『エメリア』女王の御子息にして、次期国王候補。現在女王に代わり『ハート王国』の政治を司る御方。私はそのような方の側付きになったのだ!


私は早速フィリップ王子にお願いされ、部屋の片付け。給湯、書類整理の補佐。初日ながら早速ガッツリ働かせて頂いた。


「お疲れ様。悪いね初日から」


「いえいえ、とんでもありません!」


「そうかい?そう言ってくれると嬉しいよ」


「あの……1つよろしいでしょうか?」


「うん?どうしたの」


「フィリップ王子のお世話する方は他にいらっしゃらなかったのですか?」


「!?」


「お城の中にはオーロラさんを含めて、メイドさんや執事さんが数多くいらっしゃるように見ていて思えたのですが?」


「そうだね。過去に何人も僕の側で働いてくれた人達はいたんだけど、皆………辞めちゃったよ」


「そうですか………でもなんで折角フィリップ王子のお側で働けるのに辞めてしまったのでしょうか」


「…………。」


「すみません。ご気分害されましたよね」


「いや………いいんだ。そうだねなんでかな〜こうやって仕えてくれて初日からコキ使うスパルタな面が見えちゃったからかな?」


「そんな国の為に働くフィリップ王子の仕事を補佐するの暇な訳がありません。皆考えが甘かったんでしょうか?」


「……………。君は自分の言葉に責任は持てるかい?」


「えっ?」


「いや、なんでもないよ。ごめんね!さぁあと少し手伝ってもらうよ」


「はい!」


昼にお城を訪ね初のお仕事は気がつけば終わりは真夜中だった。


(やっと終わった〜。でも流石がフィリップ王子の仕事量。想像以上にあるんだな〜。私も王子を補佐出来るように早く一人前にならないと)



ベットに入って少しして


「アリス。起きてアリス」


「あれ?王子どうさせたんですか?こんな時間に」


「何って仕事だよ」


「こんな時間に仕事ですか?」


寝ぼけた私に、王子はナイフとピストル、そしてアイマスクを渡す。


「えっ、えっ王子これってなんです?」


「なにって、殺しの仕事だよ」


「…………はい?」


王子の隠された仕事。私はこれまでの王子の付き人達が次々に辞めていく理由を目の当たりにすることとなった。

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王子様は暗殺者 ザイン @zain555

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