despair・エスパーの嘆き

 もう、ダメだ。

 テニスが終わってお風呂の中。冷えた体を温める。だが、心の中は冷え切っていた。

 俊ちゃんは、そんなことする人間じゃなかったはずなのに。

 母にはしんどいと話した。どう言われるか分からないけど。

 もう私の超能力は限界を超えたのかもしれない。体が絶望的なほど弱り、めまいとけいれんがあるし。

 最初は、軽い気持ちだった。でも、苦痛が増え、友達も減って、最も大切なものさえ失った。これを見なかったら、大丈夫だったのだろうか。

 そういえば、最初もこのお風呂からだったな。

「あの野郎」

 思わず呟いてしまった。だが、止まらない。

「あのスマッシュで私に負けたやつめ。私の大事な俊ちゃんをよくも、盗って、くれたな」

 静かに私は体を震わせていた。私の俊ちゃんへのスマッシュは、届かなかった、か。

「やっぱり、超能力何て、超能力何て……!」

 数々の人間に失恋を告げたエスパーは、風呂の中で己の力と恋を悔いていた。

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エスパー・ミカコ DITinoue(上楽竜文) @ditinoue555

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