第4話 婚活で会う人びと

時は90年代後半。

結婚相談所の性格診断と趣味、対象年齢の記載でマッチングされた相手の情報(新聞のような網点がかけられた白黒写真、勤務会社、居住地、身長、体重、喫煙飲酒の有無、賭け事など)が印刷された用紙が郵送で送られてくる。


今のようにネットも自由に使えない(回線はADSLで、モデムがピーガガガガと鳴いてた)時代で、サイトで写真一枚を開くにもエライ時間がかかったから、まだまだPC上で情報を閲覧なんて夢のまた夢だったのだ。


まずは写真。写りの良いものを用意。

ここで大半が弾かれてしまうから、ココ重要。


女性歌手が『羊水が腐る』発言で炎上したことがあったけど、結婚相談所での女性の価値は30歳までで、このラインを越えると急激に、本当にめちゃくちゃ目に見えて相手からのお断りが増える。(^^;;


今現在だと普通に40歳くらいまで出産できる(とはいえ、遺伝子異常は確実に増えるので、出産は若いほうがいいという考えかたは理にかなってるとは思う)し、容貌も50近くなっても若い人や、時代の流れで子どもを持たない考えかたも増えてるから、昔とはだいぶ状況は変わっているかもしれない。


入会金と会費は2年間分全額振り込みで、たしか1ヶ月分の給料くらいだったと記憶している。


オーネットだけでなく他の結婚相談所も同じだったと思うのだけど、当時のご時世として通常、結婚相談所は男性のほうが会員数が多く、当然ながら人員を確保したいがために女性はかなり優遇されていた。

そのせいもあってか、(現在は廃止されているだろうけれど)私が入会していた5年ほどの間、追加料金は一切発生しなかったのである。

思い返してみれば、めっちゃおトクな時期に加入していたことになる。


ここからは『あくまでも個人の感想です』の暴論を連ねていく。

活動していた間に感じた印象。本当に個人の印象なので、話半分で読んでほしいと思っている。

悪意もない。ただ複数の会員とあっているうちに、なんとなーくそうなんじゃないかなーと感じたことを書く。


まず、当時の会員の印象。

スクールカーストってあるでしょ?


会員の全体のうち、(自戒を込めて、自分を含め)スクールカーストの最下層にいただろうと思わしき、なにか問題アリな人種が7割。

2割は普通。普通の一般人で、きっと通常の生活を送って、人との出会いがあれば相応の人と結婚できるタイプ。

残り1割が、ここに入会しなくてもいいんじゃない?という高レベル(顔良し〜一般的、体型良し、学歴良し、会社良し)。そしてこのタイプに申し込みが殺到する。けど、大抵は本人が相手を気に入らずに却下するし、普通にどこかで相手を見つけてきて、すぐに退会しちゃうタイプ。


問題なのは、この全体の7割。

異性との恋愛経験が皆無で、ほぼ全員がアイドル並みの顔立ちの相手と結婚を希望し、できると夢見ている。

顔見て、分相応を心得よ、と強く断じたくなる者ばかりである。


特にデータ交換で出会った人たちより、合コンのような実際に集団で会場に集まって出会う人たちがもうほとんどと言っていいほどこのタイプで、同性異性関係なくめっちゃ閉口した。


女性は、顔が良くて身長高くて痩せてて、いい会社に勤めてて、次男で義実家となる相手の両親の面倒を見なくてよくて、自分に都合のいい男性を求めていて、口を揃えて『いないよねー』と言う。


いるわけねーよ!!!

少なくとも上記の前よっつの条件を外せばいるとは思うけど、そういう都合のいい男性タイプはそういう女性の好みに合ってないんだよ!!!


出会っても絶対、『物足りない』「いい人なんだけどねー』と言うに決まってる。



そして、同じく男性は、アイドル並みの容姿を求め、家事ができ、料理が上手く、従順で金がかからず、自分のやりたいことには口を挟まず、両親の老後の介護要員と自分の夜の相手を求めている。


お金出して、全部専門の人にやってもらえば?っつー話である。

無料でそれを求めるのは、ただの搾取である。単に、奴隷を求めているだけなのだ。



一般生活で叶わないものが、結婚相談所なら叶うって……そう都合良かったら嬉しいんだけどね。


ゲームなら、高レベルの相手だけ狙ったところで、自分の装備が釣り合わなかったらって考えるよね、普通。

なのに、あの場所になるとやけに高望みするの、なんでなんだろうな。


おまえら、ぜってー結婚できねーから、と私のなかのツッコミ担当の妖精さんが薄笑いでディスっとる。



うはー、溜息しか出ない。

(他人のことならなんとでも言える)


一例を挙げよう。


会いたいなら自分の居住地最寄りまで来てくれ、と言われた。

よく知りもしない相手に会いに移動費全額負担して、なぜ次の確約もないのに横浜から静岡まで行かにゃならんのだ。


あんまり過ぎません?


給料は断然、向こうのほうがいいのに。

驚きの申し出に、『こりゃダメだ』と判断。電話の途中から、ふだんやらない掃除までし始めた思い出。

もちろん向こうの話に合わせたので、向こうとしては会えると思ってたみたいだけど冗談じゃねえですわ。


そりゃあ相手に断られ続けりゃ、そういう思考にもなるかもしれん。わからんでもない。

でも、そんなことやってりゃ出会える相手とも出会えんから。


会う前からわかってよかったですけどね。

そうか、そうだったとしたら、なんて親切なんでしょう。

そう考えると高度なお断り技術だったのかも!!!


ごめんよ、今のいままで気づかなかったよ……。

電話切って即、データ返却したのは間違った選択じゃなかったんですね〜。(すっとぼけ)



なんだか気になってですね。

試しに成婚率を計算してみたんですよ。


そうしたら3%でした。

わかります? 結婚できるの、全体の3%ですよ?


うろ覚えなのですが、当時の会員数が10万人だったような…その3%、つまり全体で3,000人しか成婚してないわけです。


しかも、会員内で結婚してるとも書いてないので、どこかで相手を見つけてきた場合もカウントされてる。

たとえ会員内で全員が結婚してるとしても、ふたりで一組となるわけですからね。


ざっくり計算で、これまで1,500組しか成婚してないんですよ。

1年間で、ではなく、トータルで。




………………?







思ったより、めっちゃ成婚率低くね?

ムリ過ぎません???

不可能に思えてきた。



続く。

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