フットボールの戯言 その6 クロアチア戦を終えて。

 はい、どうもー、お疲れ様です。相沢です。

 みなさんいかがお過ごしでしょうか。

 ちょっと寝不足気味ですか?

 実は私もです。

 さて、今日の未明、対クロアチア戦、PKまでもつれましたが、残念ながらでPK戦で敗退し、日本のワールドカップが終わってしまいました。

 ありがとう森保監督。ありがとう日本の選手達。ありがとうサッカーに携わった全てのみんな。

 この幸せな2週間は決して忘れません。

 感動をありがとう、森保ジャパン。

 

 …………じゃあ、後出しジャンケンの時間です。炎上する準備は出来てますか?


 さて、皆さんに聞きたいのですが、今一度、自分の胸に手を当てて思い出してください。

 後半、クロアチアに押されながらも、延長戦になった時、「よしっ、これで一旦立ち直せる」と思った人。

 延長戦後半が終了して、「よしっ、これでPK戦に突入だ。PK戦は時の運だからフィフティーフィフティーだよね ♪」と思った人、正直に手を上げてください。

 

 かく言う私もその一人です。

 

 間違いなく、その一人です。

 

 後出しジャンケンの時間だから言います。

 4年前のロシアワールドカップで決勝トーナメント1回戦でデンマーク相手にPK戦で勝ち上がり、

 

 準々決勝で開催国のロシア相手にPK戦で勝ち上がり、

 

 準決勝でイングランド相手に延長戦で勝ち上がって準優勝したクロアチア相手に、

 

 延長戦に持ち込めて希望を持った人、

 

 PK戦に持ち込めて希望を持った人、

 

 もう一度自分の胸に手を当てて思い返してみて下さい。

 

 過去、2010年に一回だけ、決勝トーナメントの1回戦でパラグアイ相手にPK戦に持ち込んで負けた日本と比べてみて、

 

 本当にフィフティーフィフティーだと思いますか?

 

 昨日のPK戦を観て思いました。

 あんなPK、100回やったら100回負けるわ!!

 

 クロアチア相手に延長戦に持ち込まれたら絶対にやられる!

  クロアチア相手にPK戦までもつれ込んだら絶対にやられる!!

 そこまでの覚悟を持っていた人はおそらく、あの代表のスタッフの中にも、そしてあの試合を見ていた本当にたくさんの人達の中にも、一体どれだけいたのでしょうか?

 少なくとも、私はそんなことは思ってませんでした。

 「なーんか、クロアチアの足が止まって日本のチャンスじゃね」なんて脳みそお花畑な事しか考えてませんでした。

 今一度、この実績をしっかりと認識したうえで問いかけます。

 

 クロアチア相手に延長戦に持ち込んで、日本は勝てますか?

 

 勝てないよね。

 

 決勝トーナメントの火の出るような鉄火場で3度勝ち上がって来たチーム相手に、たったの1度も勝ったことが無い日本が勝てるわけないよね。

 しかも、主力メンバーはロシアの時からほぼ変わらず。あの成功体験を持っている選手相手にフィフティーフィフティーだと思った昨日の自分を𠮟りつけたい。


「んな訳、ねーだろ!!頭お花畑かよ!!!」と。

 

 延長戦に持ち込まれた時点で、クロアチアの思うつぼだったのです。

 日本が勝てるチャンスはたった一度、前半1-0で折り返した後の後半のハーフタイム明けに、三笘、南野、浅野を投入し、前掛になったクロアチア相手に殴り合いに持ち込む事こそが、唯一の勝機だったのです。

 あの時、点を取りに来ていたクロアチアの右サイド(つまり日本の左サイドね)に広大なスペースがありました。

 何度か長友さんがボールを持って勝負仕掛けるシーンがありました。

 あそこに三笘さんがいたら……限りなく追加点の匂いがする時間帯でした。

 そうならなくても、三笘さん投入後はクロアチアは思いっきり警戒して明らかに後ろに重心を置いていた。

 後半開始直後に森保監督がカードを切ってたら、そもそもクロアチアの1点目は生まれなかったかもしれない。

 

 そして私たちはここに来て初めて理解できたのです。

 私たちは4年前の失敗を学習することなく、同じ轍を踏んでしまったのです。

 

 4年前のベルギー戦、2-0になった瞬間、日本はベルギーの出方を待ってしまった。

 あの時、ベルギーがフェライニを投入したタイミングに合わせて、長友さんに変えて身長のある植田さんを投入してたら……

 ゲームを壊す覚悟で3バックにしていたら……

 

 たらればの世界ですが、少なくとも結果は違っていました。(もっとひどい負け方をしたかも知れませんが……)

 

 しかし、4年前、日本はリードして有利な状況でステイしてしまいゲームをひっくり返されたのにも関わらず、4年後の昨日、

日本は1点リードして有利な状況でまたしても相手の様子を伺ってしまった。

 結局、ステイしてカードを切れなかったのです。

 もちろん、いろいろ理由はあります。

 延長戦になった時のために……

 PK戦までもつれ込んだら……

 いい流れを壊しなくない……

 たくさんの理由が頭の中を駆け巡ったはずです。

 

 しかし、それは既に4年前に経験したことです。

 

 その結果、日本は手痛い逆襲を食らったのです。

 

 クロアチア相手に延長戦になった時点で勝機など無くなる。

 

 PK戦になったら、100回中100回負ける。

 

 その覚悟はあったらあの時点で、前掛になってカードを切っていたはずです。

 

 この文章を書いている時点で、ラウンド16を勝ち上がった、イングランド、フランス、アルゼンチン、ブラジルは先取点をとっても、攻める姿勢を崩さずに相手に止めを刺しました。

 決勝トーナメントに置いては、相手に止めを刺す。

 

 その覚悟が日本には決定的に足りてなかった。

 

 差し違える覚悟が決定的に足りてなかった。

 

 その覚悟があって初めて、私達が見たこともない世界を見ることが出来たのです。

 (止めを刺すの定義には、4年前のベルギー戦の場合のようにゲームを壊して2点差を守りに入ることも入ります。)

 

 背水の陣。

 オールオアナッシング。

 差し違える覚悟。

 

 延長戦、そしてPK戦の事が頭によぎった時点で日本はクロアチアの書いたシナリオに乗っかってしまったのです。

 相手の息の根を止める覚悟が無かった。

 それが今回の敗戦だと私は思います。

 

 そして4年前と同じ失敗を繰り返してしまった事を自覚しない限り、日本は再び同じ轍を踏むのだと思います。


 あと、2010年にPK戦で失敗した駒野選手の映像を繰り返し放映しているマスコミやユーチューバーの皆さん。

 あの映像を子供の時から見てきた選手達が、勇気をもってゴール上に蹴れるとでも思ってるのでしょうか?

 今回のPK戦。日本の選手達は皆、置きにいったような、優しいゴロのキックしか蹴れませんでした。

  

 10年前のたった一度の失敗を、何度も何度も擦れるまで見せてたら、そりゃ、選手の皆さん、PKを置きにいきますよね。

 

 あれ、絶対に選手達の潜在意識の中に刷り込まれてますよ。

  

 あんな置きに行っているようなPK蹴っているようじゃ、この先100年、ワールドカップでPKで勝てません。


 ロベルト・バッジョが94年のワールドカップ決勝でPKを外した後、世界中のメディアはあのPK失敗を取り上げ続けました。

 

 その後、アズーリはどうなりましたっけ?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る