第27話 「ミカ王女の訴え」

「ダヴィデ!

あなたの命を狙い、父サウジ王の軍が迫っています!

どうか急ぎ、出立し、王の刃から身を守って下さい!」


「王女ミカ様がどうして私に危険を知らせるのですか?

あなたはサウジ王の身内ではありませんか?

どのような魂胆があり、私に近づいてくるのですか?


あなたは私の命を奪い、王権が永遠にサウジ王の家系に繋がる方が、あなたにとって良い事ではありませんか?」


「ダヴィデよ!あなたは誤解をしているのです!

父は、あなたを憎んではいません!

ただあなたの活躍が妬ましく、幾度の戦いも大勝利を治める成果に、恐れ慄いているのです。いつか王である父の王位を奪う為、叛旗を翻すのではないか!と。」


「私がいつサウジ王に対して、謀反をおこなうような事をしましたか?

私は、アブラハ国の為に、そしてサウジ王の王権が強固になる為に、毎日祈り、必死になって、敵の動向を探り、寝る時間を割いて、戦い続けているのです!

もし私が王に刃を向け、王の命を奪うような事があれば、起源の主の裁きがわが身に重く圧し掛かりますように!誓って王に危害を加える事はありません!

ミカ王女!あなたは私の言葉を信じる事ができますか?」


「信じます!」


「何を根拠に?」


「ダヴィデ!私はあなたを慕っているからです!」


「何をバカな!私は、あなたの父サウジ王に命を狙われている身分、今や王国を追われ、犯罪人のように扱われている。

私を慕って、何か良い事でもあるとでもいうのですか?どうかお帰り下さい。

そしてサウジ王に私の居場所を伝えるなり、あなたがすべき事をして下さい!私が王の身内になる事は、決してあり得ませんから・・」

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