くるくる変わる視点と、登場人物たちの関係性が楽しい!

一つの物語を、複数の視点から見る構成が目新しくて楽しい!
なのにキャラクターたちの魅力に牽引され、するすると読み進めてしまえます。
同じ舞台でも視点が変わるとガラリと雰囲気が変わる快感を、ぜひ味わってほしいです。

そして主人公のノエルがとにかく魅力的なのです。
無口で勇敢、でも頼りなさや臆病さもあり、単に「かっこいい」とか「かわいい」というだけでなく、「ノエルらしさ」ともいうべき息遣いが感じられます。
「彼ならこんな時、きっとこんなふうに思うのだろうな」と想像できるほどリアルに感じさせるキャラクターは珍しい。
意表をつく突拍子もない行動も多いのですが、彼なりの筋の通った理由があるのだろうと納得させられます。
読めば間違いなく、小説のキャラクターとしてだけではなく、一人の生きた人物として好きになることでしょう。

それを取り巻く生き生きとした登場人物(?)たちのとの関係性がまた楽しい!
登場人物一人一人ににとって、それぞれ別のノエルがいるのがわかります。
駆け出し冒険者たち、宿屋や商人、ギルド長や職員たち、クズ拾いの子供たち、どれひとつとってもノエルとの関係は同じではないのです。
特に、一番独特の関係性を持つ「管理人」とのやり取りに、いつも嬉しくなってしまいます。

作者さまの仕組んださまざまな巧みな仕掛けに、まんまとハマってしまいましょう。
ダンジョンを探検するようなワクワク感を味わえることでしょう!

その他のおすすめレビュー

カイエさんの他のおすすめレビュー119