第22握利 龍平くん、鳶職をクビになる!?
「で? 話って何だよ」
『
その中で、『握利飯』店主、
「ああ……。実はな、『羅武園』は、情けない事に、逮捕者を出しているんだ」
「はっ!? 聞いたことねーけど」
「当然だ。お前が園に来る前の話だからな。で、椿佐はそいつの、性被害者だ」
「え……」
龍平が椿佐を見上げると、椿佐の瞳が揺らいだ。
「性、被害って……」
「そのまんまだ。椿佐の泣き叫ぶ声を聞き、俺が駆けつけたから未遂で済んだがな」
「…………」
「その加害者が、今日、刑期を終え、
「出てくる」、勝治の言葉を聞き、椿佐の肩が跳ねた。
「……じゃあ、あれか、こいつがこんな格好しているのって」
「ああ、一門のヤンキーもの好きもあるだろうが、男避けのためだろう。そうだよな、椿佐」
勝治に声をかけられると、椿佐は蛇口をきゅっと閉め、手拭いで手を拭いた。そして、ゆっくり目を閉じて、深呼吸すると、目を開けた。
「……ああ、そうだ。両親の影響もあるけどさ、一番の目的は男避け。こういう格好して男言葉を使えば、寄ってこないかなと思ってな」
「マジか……」
龍平は項垂れ、自分の今までの言動をさらに悔いた。
「ま、でも、今では気に入ってるよ、この格好。
「そういう問題じゃねーだろ……」
「で、だ、龍平」
「何だよ……」
「お前、椿佐の護衛をしろ」
「……はああぁ!? いや、オレ、鳶の仕事あっし」
「ああ、それなら問題ない。
「吉やん……、ああ、親父か」
「『一門の娘の一大事とあっちゃあ俺もじっとしてらんねー!
「親父……」
吉やんこと、『
「ってわけで、お前は明日からここで住み込みバイト兼、護衛だ」
「す、住み込みぃー!?」
龍平は動揺し椅子をガタンッと倒し、立ち上がった。
「そりゃそうだろ。店やってる時は客とかいるけど、閉店後は椿佐一人だ、危険だろう?」
「いや、けどよ……」
「住み込みの間、『
「園長、根回し早すぎだろ……」
「自分の足で証拠を集め、逃げ場がないように相手を追い詰める。
「園長、
「ああ、二人には言ってなかったな。俺は元
「はああぁぁ!?」
龍平は先程より大きな声を出した。
「ある時、急にな。困っている子供たちを助けたい! と思い立ち、辞表を叩きつけ、貯金の九割を使って『羅武園』を始めたんだ」
「マジかよ……」
「だから、現役
「ありがとうございます」
椿佐は深々と頭を下げた。
「でも、奴のことだ。見回りをかい潜り、接触してくるかもしれない。そこで、お前の出番だ」
「園長、オレはヤンキーじゃねーからな。喧嘩が強いわけじゃねーぞ」
「はははっ、わかっているさ。お前は護衛しつつ彼氏の振りをすればいい」
「かっ、彼氏ぃ!?」
「俺に負けないくらい、目つきの悪いお前が彼氏なら、いー番犬になると思うぞー?」
「オレは番犬かよ……」
「というわけで」
勝治は立ち上がり、龍平の両肩を掴んだ。
「椿佐を頼んだぞ」
「……わかったよ」
「はー、俺ってばなんて優しいキューピットなんだっ」
「こんな厳ついキューピットいねーよ……」
「はははっ」
龍平の呟きに、椿佐が笑い、空気が少し和らいだ。
こうして、仮同棲生活が始まるのだった。
−−−−−−
あとがき。
同棲(仮)スタートです(笑)
そして、最初のやり取りで嫌な気持ちにさせてしまったらすいません!(ジャンピング土下座)
その分、龍平が頑張りますので!(ザ・キャラ力本願)
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