第7話 監視



 ――場所は第3階層。


 リョウはウッドチェアに腰掛けながら、宙に浮かぶ複数のスクリーンを見ていた。


 そこに映し出される、11人の盗賊と燃え広がる花畑。


 「あらあら」


 後ろに控えるドーラが、残念そうに掌を頬に添える。


 ダンジョンマスターは、各階層の如何なる場所でも3次元的に見ることが出来る。


 彼等の侵入に気付いた時から、リョウは今のダンジョンの性能と、現地人の力量を調べるため泳がせると決めていた。


 とは言ったものの、第1階層では碌な戦闘も見れないまま完敗したわけだが。


 「……少しあからさまだったかな」


 「……はい。申し訳ございません」


 「あ、謝らなくていいよ。今は他の植物でカモフラージュ出来ないし、しょうがないよ」


 「はい」


 しゅん、とするドーラが愛らしく、リョウは笑ってしまう。


 迷宮素が貯まれば、何かと出来ることが増えるのだろうが、生憎今は空っぽ。


 ドーラの手助けを出来ない彼の方が、力になれないむず痒さを感じていた。


 だからそのために、今回の侵入者を逃してはならないのだ。


 リョウは新鮮な緊張感に拳を固め、改めて視界をスクリーンに移した。

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