このま困った幽霊のため、徳を貯めるのを手伝います。

角川つばさ文庫小説賞で最終選考まで進んだ名作、『ヤシロさんは成仏できない』が、更にパワーアップしてカクヨムへ帰ってきました。

中学二年の優等生エマは、ある日隣に住む男子高校生ヤシロさんが亡くなったと知らされます。
しかしエマには信じられません。なぜなら、ヤシロさんが亡くなった時間の更に後に、彼本人に会っているから。
実は、ヤシロさんはやはり死んでいて、エマが出会ったのはその幽霊。エマは彼が生前最後に言葉を交わした相手ということで、その姿が見えるようになっていたのです。

これまで幽霊なんて見たことのなかったエマにとっては驚きのですが、それだけでは終わりません。なんとヤシロさんがちゃんと成仏できなければ、エマも死んだ後成仏できないという事態になってしまったのです。

成仏するためにはヤシロさんが徳といういいことのポイントを貯めなければならないのですが、生前ヤシロさんが貯めていた徳は、なんとゼロポイント。学校にも行かずずっと家に引きこもっていた彼は、徳を貯めるチャンスもろくに無かったのです。

これだけ書くとヤシロさんのせいで何の関係もないエマが大変な目にあうように思えますし、実際にその通り。
世間一般から見ると少し困った人のように見えるヤシロさん。しかし彼にも夢がありました。

それに対してエマは、優等生でありながら、夢ややりたいことの見つからない。そんな二人が上手に対比されています。

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