第26話 仲間

俺がスキルを充実させることに責務を感じた時にグレイス団長から声をかけられる。


「ルーク。お前のことだから【合成】関連は一人でやろうなんて考えているんじゃないのか?」


「えっ?」


「ここに居る子供はお前を含めて全員【合成】の神技もちだ。それを頼らなくてどうする。お前はなんでも一人でやろうとしすぎだ」


「で、でも」


「でもじゃない。気絶するほど自分に負荷をかけているのにそれ以上に効率が出せるのか?今は子供たちでも戦力しなければならないほど緊迫した状況だ。ふがいないことだがな」


「なら、なおさら」


「そう。なおさら皆で協力する必要がある。それをまとめるのはお前だ。ルーク。俺たちはそこまで手が回らないし【合成】についてもそこまで知らない。お前がみんなを強くするんだ」


そうグレイス団長に声をかけられてアインとカインが近づいてきた。何も言わず臣下の礼をとる。


俺はその意味を深くは分からなかったが、なんとなく自分達を信頼してくれと言っているように感じた。


「ルーク。お前がリーダーでその二人はお前の部下だ。そしてこれからもそうした人間が出てくるだろう。お前にはその素質があると俺は見ている」


そこでじいちゃんが口を挟んだ。


「今は分からんかもしれんが、ルークはそのように育てられたのじゃよ。まさか【合成】の神技を賜ってその素質が必要になるとは思っておらんかったがのぅ」


俺は悩んだ。このまま皆を利用するみたいに手伝ってもらっていいのかと。その時、じいちゃんが襲撃された時に水魔法で守った女の子が抱き着いてきた。


「私、頑張る。もう泣かないように」


その言葉はか弱いながらもとても強い意思が込められているように感じた。


「みんな。俺が考えていることに協力してくれるか?」


子どもたちは皆頷いた。


こうして俺たち【合成】持ちの孤児院組は一つの仲間に慣れた気がする。


その後は子供組だけで話し合いになった。大人たちは別の問題を話し合っているようでこちらには手を出せないでいる。


そうして決められたことは三つ。


一つ、全員が剣術または短剣術のスキルを獲得すること。これは自己防衛を最低限にでも行えるようにだ。また、俺たち三人以外はどちらの訓練にも参加して【合成】するためにスキル獲得を目指すようになっている。


二つ、全員が何らかの魔法を獲得すること、こちらは非戦闘職を目指すものが優先して取得することにした。【合成】を行うのは敵から奪うときにレベルが足りないときに留めみんなで能力を高めあうことに決めた。


三つ、罠をいたるところに仕掛ける。また、逃げるための部屋を分担して作ること。俺たちの武器はなんでも作れるという【合成】。それも、強化合成と言う手段を用いれば細い糸でも剣で切れないようにできるという優れモノだ。それを使って罠や破壊できない頑丈な部屋を分担して作ることにした。


これらを明日から取り掛かることにしたのだった。

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