第23話 神殿騎士の攻防

戦場と思われる場所へ走っていったグレイス団長であったが十五分後には孤児院の庭から見える位置まで後退してきていた。もちろん護衛や傭兵の団員達も一緒だ。


神殿騎士は十五名まで人数を減らしていたが、こちらも商隊の護衛が五名しか残っておらず接近戦を行っているため残った魔法師が魔法を使えないでいる。


ときおり、戦場から抜けてきた神殿騎士がじいちゃんをめがけて切りかかってくるのを盾を持った傭兵が受け止める。その隙に足元を水魔法で泥に変えては俺たち三人で滅多打ちにして気絶させる。


気絶させた神殿騎士は鎧を脱がされ、庭師のジョーンズに縄で笹巻にされていた。


そんな攻防を三時間続けていると神殿騎士も体力の限界なのか逃げ腰になってきていた。俺たちはその隙を逃さず逃げ道の足元を水魔法で泥に変えて逃げることができないようにした。


そうしてようやく戦闘は終わり神殿騎士は五名を除きすべて捕らえることができた。損害は商隊の護衛が十名、傭兵から前線部隊二名が死亡した。俺たちは初めての戦闘で神殿騎士たちに恨みができたがじいちゃんが怒りを抑えるように言い聞かせる。


「子供たちよ。これがこの国の現状じゃ。力ある物は金を持つ者に使われて死んでいく。死なないためには生き残る術を持つしかないのじゃ。今回我々が狙われたのは金を持つ者がその金を奪われそうになったからじゃろう。その者は自分は危険を冒さず、部下に命令するだけで済ませようとしているのじゃ」


俺はじいちゃんの言いたいことはなんとなくわかったが、他の子供たちは首をかしげている。この中には教育を受けている最中の子供がほとんどのため分からないのも仕方ないのかもしれないが、この惨劇だけは忘れないでほしかった。


「じいちゃん。この神殿騎士たちはどうするの?帰すとまた襲ってくるでしょ。ここで殺しちゃうの?」


「いや。ルークの行っている実験の被験体になってもらう。スキルは【合成】できるがもしかしたら神技までも【合成】できるかもしれんからのぅ。今後はそれを確かめていこうかの」


じいちゃんの目が少し怖かったが、これは俺たちの仲間をこれ以上奪われないための実験だと割り切ってじいちゃんに協力することを決めた。他にも数名、同じような顔をした【合成】持ちがいることからその子たちもやる気なのだろう。


この話をした後は、大人たちで死体を埋葬、焼却をするということで俺たち子どもは孤児院内で話し合いをすることにした。

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