第16話 旧友

教会の神官がやって来てから三日後、街に待った神技【鑑定】持ちの第三者とやらがやってきた。


その人は初めに最初にやってきた神官とのやり取りを自動書記で記した書類を読むとため息をついた。


その後、二番目にやってきた神官が孤児院へ到着した。【鑑定】持ちの人は神官へ書類を渡す。神官は渡された書類を読むうちに顔色がどんどん青くなっていった。


「これは私が出る幕もなく詐欺だと思われるのですが、神官殿はどのようなお考えで?」


「私もそう思います。私にはその神官を止めさせる権利を頂いていますので、即刻その権利を行使させていただきます」


「だからと言って今回の件で教会は無関係ですとは言えませんよ。自動書記には記録した日付も残っていますので」


「私には例の元神官に対する権限以外に何も行うことができません。そちらの書類のコピーで構いませんので譲っていただけませんか?今後そちらとの和解に使用させていただきます」


「その言葉もきちんと自動書記にて記録されておるからの」


じいちゃんがそう言うと、神官は覚悟を決めたような顔をして去っていった。


「相変わらず容赦がありませんね。師匠」


「「「師匠?」」」


子どもたち全員が首を傾げた。


「この人はこの国のほとんどの神技【鑑定】持ちを育てた人なんだよ」


「やめろ。クローヴィス。今はただの爺じゃ」


「ただの爺が教会に喧嘩なんか売りませんよ。それで詐欺を働いたという神官の身柄はどうしますか?私としてはここに置いておくのは危険だと思うので移送を推奨しますが」


「それでは連れて行ってもらおうかのぅ。ここには戦力がほとんどおらん事じゃし。子供たちを危険にさらす必要もないじゃろ」


「賢明な判断かと」


「それで国は儂に何か言っておったかの?」


「ポーション並みの効果があるレッサーポーションを探れと」


「相変わらず国益以外に興味がない奴らじゃの。その品物が今まで散々バカにしよった神技【合成】持ちしか作れんと分かったらどんな顔をするのかのぅ」


「それは・・・プライドが許さないでしょうね」


「まあ良い。それでクローヴィスよ。お主にこの子供、ルークの神技レベルが見えるかのぅ」


「・・・見えません。一体どんな鍛え方をなされたのですか?」


「毎日神技の使い過ぎで四回は気絶しておったのぅ」


「それでお師匠様には見えるのですか?」


「それが見えんのじゃ」


じいちゃんの言葉にクローヴィスさんは言葉を失った。


「まあ、神技【鑑定】のレベルにも上があることじゃし。儂らがその高みに届いていないというのが可能性としては一番あり得るかのぅ」


「ルーク様はまだ五歳だったと記憶しておりますが・・・」


「そうじゃが。流石儂の孫じゃろ」


もう何を言っても無駄だと悟ったクローヴィスであった。

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