第15話 廃村

冬が空けて一月が経ち、村に役人が大勢やってきた。俺たち孤児院のメンバーは孤児院から一歩も出なかった。役人のひとりが説明に来たのだが。


「この冬で村民に多くの死者を出し、徴税にも応じることができなかったとして村長が更迭されました。次の村長候補にロイド様が推薦されています」


その言葉を聞いてじいちゃんはカンカンに怒っていた。


「儂が孤児院を作ると聞いて、何の支援も寄こさなかった国が責任ばかり儂に押し付けよって。そんな話し受けるわけないじゃろう」


この対応には役人も驚いたようですぐに上官らしき人を呼んできた。だが話は一向に進まず、結果この村は廃村。周辺の土地は孤児院預かりとすることになった。


役人たちが帰った後、孤児院では話し合いが行われた。土地が大量に手に入ったことから違う金策に手を出してみないかという提案だった。


しかし、その内容を誰も考えておらず一時中断して薬草園を広げることと警備の人間を誘致しようという結果に落ち着いた。


警備の人間はケガなどがあっても孤児院で治療を行う。給金は安いがそれでもかまわない者と言う条件で商隊の人たちに情報を流してもらうことにした。


人が来るまでは薬草園を広げては+値の高い薬草を作るといった作業を繰り返していた。


次の日、待っていない訪問者がやってきた。教会の神官だ。


「そちらに教会の神官がやってきているはずだ。調べた結果ではここで痕跡が途絶えておる。何か知らないか?」


俺はアインにじいちゃんたちを呼んできてもらうように頼み、神官には。


「今、大人を呼んできますので」


と言って玄関で待っていてもらうことにした。


じいちゃんはすぐにやってきて神官をロビーへと通す。その際に何やら道具を起動させていた。おそらく前回使用したという自動書記だろう。


「それで、ここにはなに用でこられたのかな?」


「ここに以前、神官がお邪魔したと思いますがその神官が今どうしているのかご存じありませんか?」


「その神官であればこの場で詐欺を働いたのでな。この場所で拘束しておる。食事等は与えておるから死ぬ心配はないぞ」


その話を聞いた瞬間、神官の顔つきが変わった。


「その神官は今巷で売られているレッサーポーションについて調べるように任務を受けていたのですが、何かそちらに不都合を働いたのですか?」


「だから詐欺を働いたと言っておるじゃろ。真相を知りたいのであればそろそろ第三者の神技【鑑定】持ちがやってくるはずじゃからそれまでここで待っておるか?もちろん儂らは教会を信用できんから監視の目は着くぞ」


「この村の他の家に泊めていただくことは可能でしょうか?流石に四六時中見張られるのは勘弁願いたいので」


「それならどの家でも使ってよいぞ。この村は既に廃村じゃ。家の所有権も既にこの孤児院となっておるからのぅ」


「それでは家を一軒お借りして待たせていただきます」


そう言って神官は孤児院の外に出ていった。

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