第11話 教会

レッサーポーションの販売はうまくいった。売値は輸送費も含めて通常のポーションの半額。効果は変わらないとなれば売れるのは必然だった。


しかし、教会の動きも早くすぐに家の孤児院で作成されていることが突き止められた。


教会の神官曰く。


「治癒は神が信徒に与えた術であり、市井のそれも孤児が扱ってよい物ではありません」


「おかしいのぅ。そちらの言い分では信徒以外に治癒をする術を持つこと自体おかしいことに聞こえるのだがのぅ。それに其方たちが独占しているのはポーションの作成方法でレッサーポーションは販売の許可も出しておるではないか。家が販売しておるのはレッサーポーションじゃ。それの何処に問題があるのじゃ?」


「ポーションと同じ効力を持つレッサーポーションがあるわけないでしょう」


「もしや。お主、鑑定もせずに家が扱っているのがポーションだと決めつけてここにやってきたのではあるまいな?忠告しておくが儂は神技【鑑定】持ちじゃぞ」


明らかに神官はうろたえた。おそらく鑑定をしてこなかったのであろう。そこにじいちゃんは追い打ちをかける。


「それに其方は、最初に何と言ったかのぅ。治癒は神が信徒に与えただったかのう。なら何故、高級とは言え本屋に治癒の魔法書が売ってあるのじゃ?それはその言葉が嘘だという証明ではないかのぅ」


その言葉を聞いて神官は完全に逃げの体制をとった。その瞬間セバスさんが首筋にナイフを押し当てて行動を止める。


「其方は詐欺を働いたものとして拘束させてもらうぞ。安心するがよい。先程の内容は自動書記にて記録済みじゃ。それにちゃんと神技【鑑定】持ちの第三者を呼ぶでな」


それで教会との第一戦は勝利した。神官は手足を縛られて開いている部屋に放り込まれている。


「ロイド様かっこよかったです」

とアインが話すと何故かカインはうんうんと頷いている。まあ確かにかっこよかったが。


そんな二人をよそにじいちゃんは俺の近くにより耳に口を近づけ小声で話しかけた。


「あの神官。治癒魔法のスキルを持っておったんじゃが、神技【合成】でルークのスキルなしと合成することはできんのかの?」


「できるかは分からないけれど楽しそうだね」


と言うわけで部屋に転がしている神官の元へ俺とじいちゃんは行ってみた。


治癒魔法の感覚が分からなかったため神官の魔力を奪い取るイメージで合成を発動させてみた。


その瞬間、何やら俺と神官が輝いたらしいがその時には既に俺は意識を失っていた。

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