第10話 アインとカイン

孤児二人が来てから二週間が経過した。二人はアインとカインという名前らしいが双子ではない。ただ近所の友達でよく顔を会わせてはいたようだが。


そんな二人は俺よりも過密なスケジュールで教育と合成の訓練を受けている。平民の子どもである二人は文字の読み書きと計算ができなかった。それが一般的ではあるのだが、じいちゃんはそれに甘んじることを許さなかった。


執事のセバスに教育を任せてじいちゃんは俺の合成のレベルアップに付き合ってくれていた。変化が訪れたのは宰相様からの手紙が届いたその時だった。


内容は読ませてもらっていないから分からないがじいちゃんはカンカンに怒っていた。それから年齢が五歳に達したばかりの神技【合成】持ちの子供が商隊によって送られてくるようになった。


それでもじいちゃんは俺の指導を止めることなく、送られてきた子どもたちの面倒は執事のセバス、メイド長のクリス、その手伝いとしてアインとカインが中心となって行うようになった。


総勢二十名の団体となった孤児院。今はじいちゃんの資産でどうとでもなっているが今後どうなるかは分からない。よって何か特産品を作ることになったのだが、それはじいちゃんの一言で終わった。


「ルークの作ったレッサーポーションでの治療でいいじゃろ。あれを鑑定してみたら普通のポーションと効果は変わらんかったからの」


ポーションは教会が独占しているため、価格がかなり吊り上げられている。しかし鑑定を用いても俺が作ったものはレッサーポーションなのだ。それは教会で作成が秘匿されていない正式なものだ。ちょっと+の値がついていて鑑定結果に疑問を持たれるかもしれないが・・・。


そんなことは気にすることなくじいちゃんは庭師のジョーンズに庭の特に薬草類の栽培を進めるように命令した。どことなくジョーンズは嬉しそうだったがそれは置いておいて。


新たにやってきた十三名の五歳児たちは合成を使う練習を俺が監督して行った。練習材料はレッサーポーションだ。回数をこなして上達した子供たちにはレッサーポーション+1を作るのに挑戦してもらった。


その間俺は、レッサーポーション+3を量産した。



レッサーポーション+3

回復力+3

保存 



販売は家に商品を卸しに来る商隊に販売して、要望に応じて保存期間を延ばしたりすることが可能だということを宣伝してもらうこととした。初めは扱うものがポーションもどきと言うことで苦い顔をしていたがそこはじいちゃんの顔を立てて了承してもらった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る