第37話⁂二人の姫⁂



 陽葵王最近は、財前六郎を公私共に自分には無くてはならない存在と確信している。

 それは、陽葵王にハッキリ言い過ぎて自分が不利になるのも顧みず、陽葵王の事を第一に考えて正しい判断を下してくれる事が何よりだが、それより何より愛情が芽生え始めている。


 更には…嬉しい事に、財前六郎との愛の結晶、妊娠の兆しが見え始めている。


 ひょっとして……流星王配とは離婚をお考えなのか、子供も望めない流星王配と結婚している意味って何?


 陽葵王は二人の姫と共に、新たに誕生する赤ちゃんの事で喜びに溢れている。


 そんな折に…とんだお家騒動が勃発する。

 何とも酷い話で……可愛い二人の姫の出生の秘密が、暴き出されようとしていた。


 ◆▽◆

 陽葵王は、過去に二人の姫を出産されていた。

 だが、とんだ裏工作がされていた事が判明。


 それって……一体どういう事?


 どうも…二人の姫を授かったのだが、陽葵王は出産の恐怖から無痛分娩 を選択された。

【無痛分娩とは、簡単に言うと麻酔を使って下半身の痛みだけをとる方法】


 上半身には麻酔がかかっていないので、生まれた赤ちゃんを見届けて、すぐに抱っこをすることができる。

 

 こうして万全の態勢で出産に望まれた。

 出産と言うものは厄介なもので、いつ陣痛が始まるか分からない。その為二人の姫は、主治医の見立てで夜中の十二時から出産の準備に入った。


 出産には非常に長い時間がかかる。夜中だった事も有り、なんと出産が間近かに迫っていると言うのに陽葵王は、ウトウトお眠りになってしまった。

 

ああああ……アアア嗚呼……陽葵王がウトウトお眠りになってしまったその時に、とんだ不正が行われていたらしい。


…どうも…可笑しい事に…陣痛らしきものも余りなかったし、破水らしきものも無かったような……?



 ◆▽◆

 北東に有る離れ小島に不審な男の存在が有った。


 どうも…「最も差別される奴隷」のいる美女の島に向かう船に不審な動きが有る。どこから侵入して来たのか、突如剣を抜き取り美女を乗せ舟を漕ぐ船頭を、バッサバサ鋭い剣で殺害している。


 そして…顔を見られない様に、手拭いでほっかぶりした何とも怪しい男が度々「最も差別される奴隷」の島、北東に有る離れ小島にやって来ては、美女たちにおカネをばら撒き、散々スケベ行為を繰り返しているではないか、何ともグチな事。


『このスケベ野郎!』の魂胆。それは、あんな巨大フグ陽葵王とのエッチは真っ平御免!だけど子供がどうしても欲しい。そこで考えられたのが、美女たちと思う存分楽しんで生まれた子供……それと……どうしても、流星王配を出し抜いて、自分が王配になりたい。


 その犯人は一体誰?


 その男……そうそう……いた。いた。あの男、王様の次に偉い首相の子息で、次期政財界期待の星との呼び声の高かったあの男、高学歴のイケメンで出世街道まっしぐらの、現在法務大臣のエドワ-ド公の陰謀だった。



 巨大なフグのような陽葵王に、散々歯の浮くようなおべんちゃら、出まかせを言って上手く取り入って、エッチに持ち込んでいたらしい。


「私エッチは大嫌い!だって~?肉が摩擦して痛くてコリゴリなのよね。チョット私ってデブでしょう?こんな私でも大丈夫?」


「何を言っているのですか?陽葵王は、グラマーなんですよ~!僕はふっくらとした女性が、だ~い好きです💘😚*・゚゚愛してます~💞.:*💛💛💛」


 どうも…本音はこんな巨大フグ、巨大ブタとは死んでもやりたくないのが本音なのだが…プライドの高い一族の出世の為と、自分が何より出世したいから、どんな事も我慢出来るのだ。


 この様に、散々上手い事言ってエッチらしいエッチもせずに、只かすっただけでチャチャと済ませて出産に持ち込んでいたらしいが、口で言う事と本音は大違いで、どうも…北東に有る離れ小島の「最も差別される奴隷」美女たちと、散々悪事の限りを尽くしていたらしい。


 それでも…どうしてあんな遠く離れた、到底民衆が行けそうもない離れ小島での事が、バレてしまったのか?


 それが……どうも…この星の副首相が、とんだ艶福家で美女が送り込まれた事が分かるや否や、早速コッソリと行動に移していたらしい。


 厳戒態勢が敷かれている中、賄賂のお金を船頭に渡し島に渡り、男に飢えている美女をゲットしようと試みるも、全く相手にされなかった。


「ああああ……ダメだ!」自分に魅力の欠片っもない事が分かったコルレオーネ氏だが…早速次の手を打つ。まぁ?当然ちゃ当然、ブックブクのタヌキオヤジなので、惚れられる訳がない。気付くのが遅すぎ!


 そこで……金金金、美女たちに、これでもかと、おカネをばら撒き、度々この離れ小島に渡って事に及ぼうとしたが、何とも残念な事にイケメンエドワ-ド公に全員奪われてしまった。

「クッソ—————ッ!モウ!アッタマに来た————————ッ!」


 美女たちがエドワ-ド公に全員流れて、コルレオーネ氏はチ~ッとも相手にされなかった。


 そこで……お金だけ散財して、良い思いも出来なかった腹いせに、頭に来たコルレオーネ氏がイケメンエドワ-ド公を妬んで言いふらした。


 まぁ~?男の考える事は似たり寄ったり。ああああ……やっぱり……男は……若い美女がお好きなよう……どうしようもない………。

 こうして全て白日の下に晒された。


 だが…その話が公になったのは最近の事。

 陽葵王は、二人の姫は間違いなく自分が産んだものと信じて疑わなかった。


 どうしてこうも上手く騙せたのか?


 どうも…エドワ-ド公の親戚は、皆お医者様で『エンペラーシテー』の王様一族御用達の病院の院長先生他、病院の名誉職に就いているのは全てエドワ-ド公の親戚。

 だから……不正が成功した。


 全くけしからん…エドワ-ド公「最も差別される奴隷」のいる美女の島に渡って、エッチの限りを尽くして、エドワ-ド公とエドワ-ド公一族が結託して、「最も差別される奴隷」美女との間に生まれた赤ちゃんを、陽葵王が産んだ事にしてすり替えていたのだった。とんだ不届き者。


 こうしてエドワ-ド公は……磔(はりつけ)の刑が執行される事になった。


 ◆▽◆

 ああああ……アアア嗚呼…いよいよ話は最終局面へ……


 それから……話は全く異なって来るが、セルフィッシュ星の有名占い師で、王族一族専属の占い師レオナが、ひょうたんの紐の形をした池に魚釣りに行った時に言っていた言葉。

「この娘は『セルフィッシュ星』に幸運を招く運気の星の持ち主だ」

 陽葵王にはどんな力が隠されているのか?


 それから……どういう訳か……?時々陽葵王の首筋の、ひょうたんの形をした赤アザと青アザが、不吉な光を放つ事がある。


 これは一体どういう事なのか?

 いよいよ全てが暴かれる時がやって来た。


 陽葵王は本当に『セルフィッシュ星』に幸運を招く運気の星の持ち主なのか?

 それとも……ひょうたんの形をした不吉な光を放つ赤アザと青アザは、全く見当違いの不吉な出来事の前触れなのだろうか?






 



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