第21話⁂偽りのダイアナ妃⁂


 

 何という事を……アダム王子には親が決めた海底都市一の王国である、ネバーランド王国のメアリー姫との「いいなずけ」契約が交わされていた。


 (エエエエエエ————ッ!「いいなずけ」が居たなんて知らなかった?なによ~「当然……異性としてず~っとこの海底都市に、いて欲しいんだよ!」なんて告白めいた言葉を言っておきながら「いいなずけ」が居たなんて許せない!)


 アダム王子のことを許せない気持ちで一杯の、スプリング姫。


 アダム王子も「いいなずけ」が居ながら、よくも……うら若い少女の部屋に入り浸り、いい加減な事を言ったものだ。只のプレイボーイだったのだろうか?


 その真意とは………?


 ◆▽◆

 アダム王子が生れる以前にさかのぼると……実は…意外な秘密が隠されていた。


 それと言うのも、この美しい海底都市アクア王国のお妃様ダイアナ妃は、大層美しい海底都市一の美女と持て囃されていた美女だった。


 当然この海底都市一の王国ネバーランド王国のブラッド王子からも、熱烈なラブコ-ルを送られていたのだが、いかんせん……とんだブ男王子だった。


 更に……もう一方のアクア王国の王子様で、あの当時はまだ無名に近い小さな王国だったアクア王国の王子だったチャ-ルズ王子からも、アプローチされていた。


 ダイアナ妃の両親もネバーランド王国に嫁ぐことを切望したのだが、ダイアナ妃は小さなアクア王国に嫁いでしまった。


 それは……アクア王国の王子だったチャ-ルズ王子が、絶世の美男子だったからだ。


 だが……結婚して分かった事だが、環境が悪く辺境の地だったこのアクア王国は、資源にも恵まれず四苦八苦の生活を余儀なくされていた。


 それでも…もう二人の王子も誕生していたので、今更離婚する訳にも行かない。

 そんな時に、もう結婚して二年にもなると言うのに、まだダイアナ妃の事が諦めきれないネバーランド王国のブラッド王子は、度々ダイアナ妃に熱いラブコ-ルを送っていた。


 そこでダイアナ妃は考えた。

(まだ、わたくしに御心が有るのなら……ウッフッフッフ~!それを利用しない手はない?)


 それと言うのも、無名に近い小さな王国だったアクア王国の、チャ-ルズ皇太子殿下の事は心から愛しているが、財政難に苦しんでいるアクア王国の未来を考えると、悠長な事は行っていられない。


 こうして愛する夫チャ-ルズ皇太子がいながら、ネバーランド王国のブラッド王子と秘密裏に会う事を約束してしまった。


 ◆▽◆

 そして…アクア王国のダイアナ妃とネバーランド王国のブラッド王子は、密会を繰り返して行った。


「💖😍😍😍嗚呼~!.:*:・'°☆愛しておる!愛おしいダイアナ妃😚💘*・゚゚」


「嗚呼アアア嗚呼!💋💋💋💋✨✨✨わたくしもですわ~.:*:・'°☆愛しておりますブチュ💋ブラッド王子😚😚うっふ~ん💋💋💋」


 何とも……不謹慎な事に、逢瀬を繰り返すアクア王国のダイアナ妃と、ネバーランド王国のブラッド王子。


「ダイアナ妃どうか頼む、チャ-ルズ皇太子と離婚して俺の妻となってくれ!」


「わたくしも💛💛💛うっふ~ん💋💋💋ブラッド様を愛しておりましてよ~ブチュ💋……それでも…わたくしもブラッド様と一緒になりたくても……チャ-ルズが黙っちゃいませんわ……でもね……ひょっとして……それこそ……それこそ……大金を積めば……夫チャ-ルズも……首を縦に降ると思いますわ~!……だって……アクア王国は財政難で非常に緊迫しておりますから……」


「……そうか?お金なんぞ……お安い御用だ……ダイアナ妃と結婚出来る為だったらなんでもイタスゾ―――ッ!」


 こうして国難を逃れるために、チビリ……チビリ……色仕掛けで、ブラッド王子からお金を引き出させていたダイアナ妃だった。


 もうダイアナ妃しか目に入らないブラッド王子だったが、チャ-ルズ皇太子よりも五歳年上で、ダイアナ妃よりも十歳も年上の三十五歳のブラッド王子は、ネバーランド王国の王様から結婚の、矢の催促をされている。


 そこでダイアナ妃に改めて、一刻も早くチャ-ルズ皇太子と別れてくれるよう頼んだ。


「ダイアナ妃一刻も早く、チャ-ルズ皇太子と別れてくれ!そして…俺との結婚を……」


「分かっておりますわ!わたくしだって~💖ブラッド王子と一刻も早く結婚したいと思っていますのよ~💛💛うっふ~ん……だけど……それどころじゃない事は、ブラッド王子が一番よくご存じの筈。わたくしの国アクア王国では、年間の死者が増え続けている現状化……どうして……そんな妖精や人魚や魚たちを見殺しに出来ましょうか?……もう少し……もう少しお待ちください!」


「分かった!私も全面的に、金銭や物資の支援をする!」


「……そこで……そこで……相談なんですが?離婚しても半年間は結婚が出来ないので……王様がそんなに結婚をお急ぎになるのならば……戸籍だけの結婚をすれば良いではありませんか?そうすれば王様も安心して、やいの!やいの!言わなくなると思いますわ~。……わたくしも愛するブラッド王子との結婚に向けて、急ピッチで離婚に向けての話し合いを、チャ-ルズ皇太子と話し合いますから💛💛うっふ~んブチュ💋」


「本当に……?本当に……?信じて良いんだな!」


「当たり前ではありませんか💛💛うっふ~んブチュ💋」


 こうしてブラッド王子は愛の無い、仮初めの結婚をしてしまった。


 だが……こんな出まかせを言うダイアナ妃には、とんでもない天罰が下る。

 そして……恐ろしい事件が!











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