クソな異世界に転生しました。『安心してください、能力はMODです。上書きしてやりましょう』

バカの天才

第1話 「能力行使」

王都の隅っこに建つ家の前で、寝っ転がりながら空をみる。


「あぁークソ」


転生は許そう。

だけどなんでよりによってこんな世界なんだよ。


手に入る武器は弱すぎるし、魔法はMP消費高すぎてなんか割りに合わねぇし……

みんなは押しつけがましく安い報酬で仕事を頼んでくるし……

そのうえ、やっとの思いで買った家は汚い。なにが「改装するなら家具1つ15000Gです」だよ。家に金払ってもう残ってねぇーって。


「あぁークソ」


「大丈夫?ローダ」


「ん?あぁソフィアか。なんでもない、ちょっと考え事しててな」


以前は仲間がいた。でも1回仕事をミスっただけでパーティーを外された。


「こんな簡単な依頼だったのに!ローダはまったく役に立たない!」


こんな俺とも仕事を共にしてくれるソフィアは大事な仲間だ。

彼女もまた、ハブられたようだ。似たような境遇だったためすぐに仲良くなった。類は友を呼ぶってことだ。まぁこういっては何だが、ソフィアもめっちゃ強いわけじゃない。だが俺と同じく苦労しているそうで、生活するためお互いなんとか協力して今をしのいでいる。


「今日はどうしよう……また薪割りでもして売ってみる?」


「薪割りねぇ、一日割っても苦しいだろうな……」


「ごめんね……私がもっと強い魔法とか使えたらよかったんだけど……」



ソフィアが弱弱しい声で謝罪する。



「ソフィアは悪くないよ。みんながもっと金出してくれればなー」


「ギルドの掲示板はどうかな?報酬の高い依頼とかあるかも!私見てくるね!」


そういうと、彼女はトコトコと駆けていった。


(報酬の高い依頼?ないだろなー)


腰に差した剣を手に取り、じっくりと眺める。

とあるダンジョンの宝箱にあった剣。ユニーク品だったので売ろうと思ったが、店売りの物よりも弱かった。鍛冶屋の男は


「ガハハハハッ坊主!確かに一品物だろうが対して強くねぇーぞ。そんな値段じゃ売れないな!」


と一蹴されてしまった。そんな代物。

不意に訪れた第2の人生だっていうのに、ずっとこうやって悩んで終わるのかな。


「使うか……」


俺だってすごい強い訳じゃない、並みの冒険者だ。

ただ評判もなく、数多の冒険者の中に埋もれてしまった。

ただ俺には人に言えない力がある。


(世界を変えるのは忍びなかったんだけど、ちょっとぐらいならいいかな……)


「MOD……」


ローグは剣に向かって呟いた。

そうすると透過されたディスプレイのようなものがそこに映し出される。


「どれどれ……」


体を起こしてよく読んでみる。


「リメイクソード……か」


誰がなんのためにこんな物を用意したかは分からない。

知る手段もなかった。


「ここを押せばいいだっけかな」





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クソな異世界に転生しました。『安心してください、能力はMODです。上書きしてやりましょう』 バカの天才 @tensai123

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