第5話 骨董店にて

「こんにちは~」


2度3度 声を掛けると

奥の方から コツン、コツンと足音がする


「誰だい?

 こんなおんぼろ屋に珍しいね」

店主だと思しき 初老のお婆さんが杖をつき立っていた


初老だと思しきといったのは

あくまでも顔つきの判断で

その他は

髪の毛はもこもこの紫色

着ているものは…こちらの基準はわからないが

年齢の感じにしては 短め…!? とにかく

若々しく見えるのがポイントだわ


この人 一体何歳だろう?

そう疑問に思いつつ 見つめていると


「あんた なんか用事かい?」


「は…っ、はい!」

「先程こちらに来たのですが、この国のお金がなくて 他所の遠い国のものなのですが珍しいコインとして換金お願いできますか?」

尋ねつつ十円玉を渡すと

ひったくるかのように取っていき 

「ほぅ…

 なかなか丁寧な仕事をしているコインだね。

 …この、ディティール。

 さぞや相当な名工が作ったものに違いない。」

「ふむふむ…」


じっくりと十円玉の裏から表しかもサイドまでくまなく点眼鏡で舐め回すように見ている様子に

某番組の鑑定中のミュージックが頭の中で延々と繰り返されていた。


顔を上げた鑑定先生

「さて」

声を発した鑑定先生に向かってつい叫んでしまう

「先生、結果をお願いいたします」

「いや  あんた先生って、」

もう、ノリが止まらない

「とぅるるるる…

 一 十 百 千 万 …」


「十万ポンでいいかね?」

ナイスなタイミングで価格入札入った



「十万!?」


「何さ 不満なのかい!?」


不満も何も 価格通貨単位がまるきりわからない…


「じゃぁ、おまけしてやるよ!十万と三千ポンだ!

これ以上は無理だよ!

さぁどうする!?」


これ以上がないのなら…


「よろしくお願い致します。」


「はいよ!」

 レジらしき箱から、十万ポンらしき紙幣を渡される 

お札だ。

0の数が沢山ある♡

それだけで何だか嬉しい


「それから、三千ポンだね。」


こちらはじゃらじゃらと細かく硬貨で渡された。


「この国のお金がな言っていっていたから、コジャリがあったほうがいいだろう?」


そうか!

親切だなー もふもふお婆さん

「はい!ありがとうございます!」


お札をお財布に入れ

小銭はちょうどバッグに入っていた巾着袋にまとめて入れておく。


「ありがとうございました。」

深々とお辞儀をして立ち去ろうとする。

「ちょっと待ちな!」

「え?」

なぜ引き止められたんだろう?

「あんた、どんなにのんびりした国から来たのか知らないけれど、コジャリちゃんとかぞえなかったね!

そんなんじゃ、ここでは騙されて終わりさよ!はいよ!」

ポーイ

と 小さな先ほどの硬貨を1枚 指で弾かれ

空中に弧を描いて渡される。

慌ててキャッチする。


…そうか 日本と違って全てを正確に渡そうと思う人ばかりではないのか

一度だけ行ったことのある 外国旅行でもくれぐれもお釣りの確認とスリやひったくりには気をつけるように言われたっけ…。

外国と思って気を引き締めていかないと!!


「はい!ありがとうございます!」


今度こそ深々とお辞儀をして店の出口へと向かった


「あんた もふもふの犬 大事にするんだよ!」


「は!?」


なんのことやら?


もふもふの…犬!?


周りを見ても居ない。


「はぁ…」

何だか疲れて曖昧な返事をする。


「はははっ

すぐに分かるさよ!」


お婆さんは笑っていた。


「???」


店の外に出て

おどろおどろしい石像に見守られつつ 骨董屋をあとにする。


行きに見かけた 可愛らしい

犬の石像は どこだったのか!?

沢山の石像に紛れてしまいわからなかったのが

心残りだった…。


まぁ、また そのうち来るだろうから その時にはじっくりと見ていこう。


向かいの宿屋へと歩き出した




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異世界って本当にあるの? @maruo888

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