第5話 幼稚園児たちとケイ
毎週の火曜日と水曜日が、俺のお休みだ。
不動産業なので、土日は仕事なのである。
でも、平日のほうがいろんなところが空いているから、慣れればこっちのほうがいいと思う。
今日は火曜日で仕事は休みなので、午前は動物病院に通い、午後はそのまま公園まで散歩をすることにした。
ケイの首輪は、俺のベルトだ。
ケイは大きいから、大型犬の首輪でも窮屈だった。困っていたが、あれ? 俺のベルトでいけるんじゃね? と思って試すと、ピッタリだったのである。
俺のお腹周りと、ケイの首周りは一緒。
運命を感じる♪
リードは長さ二メートルのものを使っているんだけど、ケイが引っ張る子だったらリードなんて意味をなさないだろう。
俺が、リードされる側だったに違いない!
だけどケイは賢いし可愛いから、絶対に俺のすぐ横を歩く。
俺の速度にあわせて、時々、俺の顔を見てはニッコシ顔を見せてくれて歩く♪
公園に行く道中、幼稚園児達のお散歩に遭遇するのは今日だけじゃない。
みどり幼稚園という、我が家や動物病院から公園に行く途中にある幼稚園の園児たちと、よくお散歩で会うのだ。
「おおきぃワンワン!」
「ケイちゃん!」
「ワンワーン!」
「ケイちゃん、こんにちわぁ」
「わんわん、ナデナデしたぁい」
大きな犬ということで、近所ではちょっと有名なケイは、園児たちにも大人気だ。
ケイは園児たちを怖がらせないように、地面に伏せて、耳を倒して、クリクリの目で笑顔をつくると、集まってくる園児たちに撫でられて、喜ぶ。
「ケイちゃん、本当にいつもイイ子ですね。わたしもワンちゃん、またお迎えしたいなぁ」
園児たちを引率する花京院先生の褒め言葉に、俺も自然と頬がゆるんだ。
「もっとワガママでもいいんですけど、ワガママはあまりいわないですねぇ」
「あまりってことは、少しはワガママをいうんですか?」
園児たちに囲まれるケイ。
先生と俺は、少しの立ち話だ。
花京院先生は、みどり幼稚園の経営者――大きな地主さんである花京院泰造氏のお孫さんだ。花京院家には俺が働く会社もお世話になっている。だから管理物件に関することで花京院家のお屋敷にお邪魔することがあり、彼女とは会えば挨拶をする間柄だ。
花京院家は、もともとは仙台のほうの出で、先代がこちらに出て来て財を成したと社長から聞いていた。
「仕事が忙しくて、帰りが遅くなったら拗ねます。撫で続けないと撫でてくれってくっついて離れないでんす」
「かわいいぃ♪ わたしもケイちゃんをナデナデしたい。みんなー、先生にもケイちゃんをモフらせてぇ」
子供たちに囲まれてニコニコのケイ。
大きくて、可愛くて、優しい最高のワンコさんなのだ!
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