第2話 お手柄のケイ
ケイの散歩はとても楽ちんだ。
この子は、俺が言葉で指示を出すとちゃんと理解しているようだ。だから、走ったらダメだよとか、そっちには行けないよと言うと、ちゃんと従ってくれる。
天才かもしらん!
そして、俺を常に守ってくれている。
今朝の散歩の時、通勤途中と思われるリーマンが漕ぐ自転車とあやうくぶつかるところだったけど、ケイが助けてくれたんだ。
リーマンは自転車に乗りながらスマフォを見ていて、角を曲がった俺は、つっこんできた自転車に驚いて体が硬直してしまった。
ジョギング中だった女性が「キャー!」と叫んだ直後、ケイが素早く動き――本当にどうやって俺と自転車の間に入ったのかわからなかったけど――、自転車から俺を守ってくれたのである。
ケイにぶつかったリーマン自転車は、ふっとんで転がって民家の壁に激突した。
自転車は大破し、リーマンはズタボロで地面に倒れて動かない。
スマフォはバリバリに割れていた。
俺はケイの無傷を確かめ、痛いと呻き始めたリーマンのために救急車を呼んであげた。
警察にあれこれと聞かれたけど、ジョギング中の女性が証言してくれたこともあり、リーマン自転車が悪いな、自業自得だ、さようならということで開放されたのである。
「ケイちゃんはすごいなぁ。ありがとうな!」
ケイの頭をなでて褒めてあげると、ニッコニコで頭を俺にすりつけて甘えてきてくれた。
ケイ。
ぶつかってきた自転車をふっとばす強さを持つ、可愛くて賢い俺の愛犬である。
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