君の唇にキスをする!

獅子雄誠

第1話ポトフときどき肉じゃが

「好きです! アタシと付き合ってください!」


 アタシは、なぜ、あの時、こいつに告白したのだろう?


「えっ? 俺?」

「そう! ケンタ!」

「むりむりむり! だって、俺、彼女いるもん!」


 そう。

 そこでアタシの十五の恋は、始まったのだ!


「はぁー……」

「どうした? カナエ?」

「やっぱアタシって可愛くないよね」

「そうか。オレは、可愛いと――」

「なんでアタシが好きになる人全員、彼女いるんだろ」

「……」

「ねぇ? ヒロキだったらどんな女子が好き?」

「オレ?」

「うん」

「そうだなぁー、背が低くて、髪が長くて……」

「うんうん」

「お前だよ!」

「……みんなヒロキみたいに単純ならいいのに」

「まぁ、オレは、少し薄味のポトフが好きなんだよ」


 そう。

 ヒロキは、いつもアタシに元気をくれるポトフなのだ。

 なのに……。


「アタシ、ヒロキを好きになればよかった」

「ちぇっ、ねえちゃんはいつもそうだよ」


 アタシたちは、血が繋がってない幼馴染なのだ。


「それより今日はご飯どうする」

「オレが作っといた」


 それは当然ポトフじゃない。


「肉じゃがじゃん!」

「ち、近いよ!」


 まるでアタシたちは、家族の様だ。


「ねぇ」

「何?」

「ほっぺにご飯粒ついてるよ」


 だからこんなにドキドキするのか!


「好きです! 付き合ってください!」


 そして、今日もアタシは、フラれに行く。


「そしたらオレ、もうねえちゃんって呼べないじゃん……」


 そのまま二人が大人になるのは、きっと別のお話し。


「なんで目をつぶっているんだよ」

「そんなの決まってるでしょ」




 ――ちゅ……。




 to be continued

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