第43話 刺客
俺と一樹は俺が所属していたハンターギルドへ向かっていた。
途中休憩に少し離れた町で食事をし、再び移動を開始しようとしたが・・・・
『何か変。』
一樹が何か違和感を覚えたようだ。
こういう時にはどうすれば?俺には何の異変も感じられないんだよな。
感覚を上げるスキルがある。
【感覚強化】がそうだ。
これは五感を高めてくれるスキルだ。
匂いに敏感になったりするので使いどころの難しいスキルだが、使いようによっては隠れている人の気配を探れたりできる。
他には【聴覚】【味覚】【視覚】【触覚】で、さっき触れた【嗅覚】だ。
第六感と言うべき五感以外の感知能力を引き上げるスキルもある。
【感知】だ。
今使うべきはこの【感知】だな。
【聴覚】は大きな音を出されるとこちらが行動不能に陥る可能性がある。
俺はこっそり【感知】カードを探し当て、使った。
・・・・いた。
かなりいる。
20人ぐらいか。
一体何故?
しかも全員何らかの得物を持っているようだ。
さてこういう時はどうすべきか。
どう考えても俺達を歓迎しているようには感じられない。
ここは大技をぶっ放すか。
たぶん俺達を囲っている人間は無事では済まない。
俺は【収納】から事前に入れてあった水を取り出し周囲にかけまくる。
一樹には勿論掛からないように気を付けてはいるが。
【投擲】【硬化】を掛けた。
そうする事で凍っていないのに水が硬くなる。
周囲に飛び散ったら【硬化】を解除した。
更に【爆発】カードで水を爆発させた。
こうする事で俺達周辺の視野を完全に塞ぐ事に成功した。
その間に察したのか一樹は【影】を使い、俺と一樹は影に潜った。
以前俺も使ったスキルだが、影さえあれば便利なスキルだ。
そしてセットで【陰伏】【地脈】【認識阻害】を使った。
これで俺達を囲っていた連中は、俺達が完全にいなくなったと思うだろう。
しかし俺と一樹は、ここで逃げるつもりは毛頭ない。
「消えた!」
「何処に行きやがった!」
「早く始末しておかないとこっちがヤバいんだぞ!」
「そうは言っても相手は2人だろう?隠れた所で逃げ果せないさ。」
そんな事はないんだけどな。
一網打尽を狙うか、1人1人確実に消すか。
問題は相手のカードだ。ついでに言えばハンターかどうかも気になる。
【念話】スキル、これは特定の相手と言葉を交わさずに意思疎通を図れるスキルだ。
よく一樹とやっている。
今も使っている。
『どうする?殺すか地面に引きずり込んでしまうか。』
『胸まで引きずり込んで、腰に巻いているカバンを頂きましょ。』
ハンターであれば腰にカードが入っているカバンを装着している。
ポケットに入れているハンターも居るが、それは絶対使うと決めている場合だな。
そうでなければ所謂デッキみたいに予めカードを並べてから収納する。
「ぎゃああ!!!!」
1人が地面に落ちたように突然下半身が地中に入り込み、胸の所で止まった。
刺客が集まってくる。
俺は【地脈】を通っているし、【影】スキルも効果を発揮しており、地面に埋まっている下半身がはっきり見える。だからカバンを失敬した。
当然ながらカードを頂いておく。
あと武器も。
拳銃のような危険な武器は、【身体強化】や【総合武術】で身体が強化されていると当たっても大したダメージを受けずに済む。
で、カバンの中には拳銃があった。
こいつら・・・・
そして次々と地面に埋めていく。
異変に気が付いた襲撃者達は地面に向かって拳銃を撃つが、地面に撃っても俺達の所まで弾は届かない。
残り10名程となった所で、刺客達の行動に変化が見られた。
何かをするつもりのようだ。
『やはり面倒だ。始末してしまうか。』
『できれば一人は生かしておいたほうがいいわね。』
情報を聞き出すのか?まあ運が良ければ死なないはずなんだが・・・・
【凝固】カードを用い、俺は刺客に放った。
正確には刺客の周囲に、だが。
魔力のごり押しで、俺は刺客の周辺全域の水分を凝固させた。
どうなるかって?
一応空気中の水分限定を狙って放ったスキルだから即死はしないと思うが、当然ながら息ができなくなる。
暫くすると全員がその場に倒れた。
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