第20話 謎の実践
「さあ!そろそろいいですか?では開始して下さい!」
俺と竹嶌さんは、用意された素材を手順に従い手を加えていく。
俺の目標は【複製】スキル。
竹嶌さんの目標は【修復】スキル。
俺の場合、物を【複製】する訳で、小さな物を型取りし、型が固まれば物を取り除き、型取り出来た部分に固まる粘土みたいなのを押し込みドライヤーで熱し、固まれば取り出す。
これを1000個作成するらしい。
最初はどうしたらいいか分からず失敗した。
10個程チャレンジして、やっと複製元と複製先が見た感じ同じように出来上がった。
時間がかかり過ぎた・・・・
慣れればグッと時間を短縮できるのだろうか?
後に俺は同時進行で、一度に10個程作成し時間を短縮させる事に成功した。
一方、竹嶌さんと言えば・・・・
割り箸が1000本・・・・食べるのに用いない場合、膳ではなく本と数えるようだ。
これら割り箸を刃物でスパッと両断させる。
その後割りばしの切断面へ
この場合の膠は接着剤だな。
俺同様最初は接着後に固定する段階で失敗していたようだが、流石は竹嶌さん。
一時間程色々試していたようで、一度コツを掴めば後は同じ作業の繰り返し。
やはり数本を同時進行で【修復】していったようだ。
こんなので本当にスキルを得られるのか?
因みに初日はお互い100程しか成功しなかった。
根を詰めて行ってもいい結果は出ないので、食事、入浴、睡眠はいつも通りに行う事になっていて、気が付けば補佐役の女性達に作業を止められたりする。
「岩ケ谷様、きりの良い所でお食事になさって下さい。」
「本日はここまででございます。入浴のお時間です。」
俺が風呂場へ向かうと、当たり前のように一緒に入ってくるお付きの女性達。
「うわ!一寸待ってくれ!ここは男用と決めたんじゃないか!」
「ええ、一連の作業が終わるまでの1週間、岩ケ谷様と帯野様が入浴する取り決めとなっておりますわ。」
「じゃあ君達はここまででいいから、ありがとう。」
俺は内心ドキドキしながら、一緒に入ろうとする女性達を丁重に断った。
「そういう訳にはまいりません。入浴の補助を行うのも我々の役目です。」
「いや!その役目はしなくていいから!」
「困りましたわ。それでは私達はお役目が果たせず、となってしまい役立たずの烙印を押されてしまいます。」
いや一寸待とうか。
「ここでの色々は周囲にばれないのだろう?」
「ええ、作業に関しては勿論厳重にかん口令が敷かれておりますし、スキルで制約されていますからご安心を。それ以外の生活、
「性的なのは一切やめてもらいたい。」
「わ、私達に魅力が足りないのですね・・・・申し訳ございません。」
「いやそうじゃない!俺はその・・・・集中したいんだ!」
「ではその、一度すっきりすれば男性は集中できると申しますから・・・・」
駄目だ、どうしてこうなった?
注:実は女性達も必死。しかも本来の性格からは決してこのような行動、発言は考えられない真面目な性格の彼女達。
そして顔が真っ赤になるのを必死に抑え込みながらの・・・・
「どうしても入浴の補助はする必要があるのか?」
「当然です。」
・・・・どうしてこうなった!
【男ならここは据え膳でしょ?】
俺の心が格闘を始めたようだ。
【そんなの駄目だ!彼女達にもちゃんとした男性と巡り会って、その男性とそういう事をしなくては!】
俺の理性は初手から防戦だ。
【その男性が俺じゃないか?】
【いやだが・・・・そうなのだろうか?】
・・・・止めようとする俺の理性は早くも負けそうだ。
【そうに決まっているじゃないか!俺が強要しているんじゃない!彼女達が好きにしてくれるんだ!】
流石は欲望君、迷いがない。
【確かにそう言われれば・・・・】
【そういう訳で、俺の理性君。一緒に入っちゃえ!】
【そ、それでいいのか・・・・うぐ!何だかもったいない気もするが・・・・そうだ!水着だ!水着で入ってもらえばいい!】
既に陥落してしまった理性。俺の理性はこの程度だったようだ。
【水着・・・・だと!だがそれはそれで・・・・1週間あるんだ、最初はその辺り方でいいか・・・・俺もヘタレだからなあ。】
どうやら脳内格闘は、水着着用で決着がついたようだ。
そう思っていると、先客が出てきたようだ。
尤もここには男って俺と帯野さんしかいない。
「岩ケ谷さん、お先です。あ、僕はこれで失礼しますから、後は好きにしちゃっていいですよ。」
どうすんだよ!
結局水着での入浴と・・・・そして何処から聞きつけたのか、竹嶌さんがやってきて、
「み、水着で入浴ですよね?それならばご一緒しましょうそうしましょう!ではこちらへ!」
「何故既に水着なんです竹嶌さん?」
何時準備していたんだ?
注:学園に常備しています。
あー駄目だ、あんな素晴らしいスタイルの水着姿を見たら理性が・・・・既に崩壊しているか。
俺、一週間持つのだろうか。
● 作者からのお願い ●
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最終話の最後に
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