第12話 凝固スキルの恐ろしさ

 帰宅前に食事を!しかも今日はリッチな気分だし実際懐は温かい。

 なのでたまには高級なものを口にしようと店を探すも・・・・早くも諦めた。


 今はそう言った服装ではないし、マナーもわからん。

 なので結局いつものファミレスで、メニューを見て高めなのを頼んで済ませた。


 今後は調べておこう。


 ・・・・

 ・・・

 ・・

 ・


 翌日俺は再び雑木林へ向かった。


 今日は【凝固】スキルを確かめる為だ。

 今日はどんな魔物が現れる?

 何だかワクワクしている自分に驚いてしまった。


 今までであればインセント、特にカブトムシとクワガタが現れれば単独の場合逃げ帰るしかなかったからだ。

 それが今や単独で仕留める事ができ、しかもほぼ素材を無傷で手に入れられる。

 もはやカモ?

 だがこんな時こそしっかりと周りを確認しないといけない。

 油断大敵とはよく言ったものだ。


 だがこう言った時に現れるのが狙っていない魔物だ。

 ハムスターが現れた。


 柴犬ぐらいのサイズだ。

 50センチ程度か?

 そもそも4センチぐらいの小さな生き物だ。10倍になっても大きさそのものは脅威にならない。

 だがその凶悪さと言ったら辟易とする。

 元は温和というか臆病な生き物なのに、大型化すると性格は反転、特に凶暴な性格として知られる。

 だが弱いんだハムスターは。

 しかし侮ってはならない。

 何せ数が尋常ではない。

 日本に住むネズミなんかを例にすると、ハズカネズミと呼ばれる種類はとにかく増える。


 なので素早く且つ周囲に気をつけながら戦わないとあっという間に囲まれる。


 案の定5匹ほど仕留めた時、周囲には10匹以上のハムスターがいた。

 幾ら弱いとはいえ数の暴力は辛い。


 俺は迫りくるハムスターの大群に備え、ここで【凝固】スキルを試す事にした。

 触れておかねば意味がないと聞いているので、危険はあるがやってみるか。


 俺は【凝固】カードを手にし、カードを発動させる。

 その次に行ったのは武器を一時的に手放す事だ。

 武器を少し離れた位置にいたハムスター目掛けて投擲した。

 それは見事突き刺さり絶命する。

 その後単独で近づいてきた1匹に狙いを定め、俺はハムスターの頭へ手を触れる事に成功する。


 そのまま【皮膚を凝固!】と念じてみると、

 ハムスターは動きを止めた。そのままこのぐらいだったら行けるか?そう思いながらハムスターの水分を【凝固】させてみる。

 するとハムスターは動けないながらも藻掻き始めた。だがそれも暫くして完全に動かなくなり、そのまま倒れてしまった。


 触ってスキルを発動させただけで死ぬのか?

 単にハムスターが小さいからか?

 たいして魔力を消費した感覚もなかったので、俺は次々とハムスターに触れ【凝固】スキルを発動させていく。


 すると面白いようにハムスター達は動きを止め、そのまま倒れてしまう。


 気が付けば俺が投擲で仕留めたハムスター以外、無傷で仕留める事に成功した。

 総数約20匹。

 そして魔力はまだ余裕がある。


 恐ろしいスキルだ。

 俺が一息つこうとしたところ、怪しい気配を感じ咄嗟に地面へ伏せた。

 ドゴ―――――ン!


 俺の頭上を何かが通り過ぎた。そしてそのまま近くの樹木に突き刺さったようだ。きましたヘラクレスカモ


 いかん、ヘラクレスがお金の成る木に見えてしまった。


 まだ凝固スキルは有効なようだ。

 果たしてヘラクレスに効果があるのかわからんが、体液があるんだ。きっと行けるはず。


 俺は角が樹木に突き刺さったまま身動きが出来なくなっているヘラクレスに触れ、そのまま【凝固】スキルを発動、【体液を凝固!】と念じてみた。

 少し魔力を持っていかれたがどうやら成功した様子。


 そのまま身動きを止め、そのまま動かなくなった。


 魔力次第で結構効果が変わるのだろうか。


 少ない魔力では皮膚などの表面を。

 魔力を込めれば体内にも有効。

 これは外骨格を持つ魔物にもいいが、そうでない魔物にはもっと有効なのではないだろうか。

 問題は触れないと効果が出ない所だな。


 だから戦闘時に用いられる事が無かったのだろう。

 そのせいでこうした検証がまともに行われず、生産系にしか使われなかったのだろう。


 俺はその後【抽出】スキルカードを手にし、早速ヘラクレスの外骨格高額の戦利品を抽出した。





  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る