第4話 うだつのあがらないしがないハンターさ

 何せスキルを直接扱える人間というのが貴重なのだ。

 1000人に1人だからな。

 そんな彼、彼女達を戦わせる訳にはいかない。

 じゃあどうしろと?

 俺達ハンターの出番だ。

 俺達ハンターは10人に1人の確率で出現する。

 つまり10人中9人は一般人。

 俺達は一般人を守る義務と責務を負い、死ぬまで戦い続けないといけない超外れな立場だ。

 ああ、それでそのスキル、昔誰かがカードへ一時的にスキルを封じる事に成功したらしい。

 今じゃすっかり主流になっているが、魔力が尽きるまでスキルホルダー、つまりさっきのスキルを扱える人間の事だが彼、彼女達が特殊な装置を用い、自身の持っているスキルをカードへ抽入する事で得られるスキルカードを我々が扱う。


 分かりにくいよな?俺も分からない。一般的に言われているのがカードを扱うには最低100の魔力が必要と言われており、ハンターは最低101の魔力が無いとハンター判定が出ない。

 100までは一般人扱いだ。

 因みに100ではカードを使った瞬間意識を失い、最悪死亡してしまう。

 なのでギリギリ101が必要。

 そしてスキルホルダーは1001以上の魔力が必要らしい。

 一度にカードへ抽入する魔力が1000掛かるって事なのか、スキルが具現化するのに1000必要なのかは分かっていない。

 因みに俺が15歳で検査を受けた時は、500と少しの魔力総量だったようだ。当然スキルは無かった。

 500の魔力って言うのはつまり、魔力が尽きるまで5枚のカードを使用できるって事だ。

 ああ、抽入するのには1000必要だが、使用するのは100必要って事だ。

 説明が下手で済まんなあ。

 だがスキルは物に付与出来る事もあるから一概には言えないんだが。

 

 話は変わるがたまたまハンター養成学校で講師を頼まれた事がある。俺は口下手だから、結局殆んど頼まれる事はないんだがな。



 ああ、脱線しまくった。

 今俺達がいるのは国立スキル学校だ。


 あの蛇がスキル学校へ向かっているとの知らせを受け、夜中だったにもかかわらず俺達は強制的に出頭し、戦いの場に準備をしていない状態で向かったんだ。

 昨日の疲れが取れていない上に眠いが仕方がない。

 疲れというか魔力が回復していない。

 今回死人が出なかったのは奇跡というほかないだろう。

 俺も毒で死にかけたし、失明したハンターも居たそうだ。

 ここはスキル学校なので、回復スキル持ちが居たのだろう。

 全員5体満足な状態で治療が出来た。


 毒の治療は厄介で、特に浴びた場合は装備も丸洗いが必要だ。

 なので今俺は裸で寝かされている。

 普通ハンターは男女お構いなしに裸にされる。


 女性のハンターには同情するが、残念な事に現場に出て活動する女のハンターに見目が突出したのはいない。

 女のハンターに失礼って言われるが、これは現実だ。

 何せハンターで女性、そして見目がよければすぐにスキルホルダーのお手付きにされるからな。

 それが嫌で男装している女性ハンターが一定数存在していると聞いている。


 俺達は20年間戦わないと解放されない。正確には40歳になるまでだ。

 40歳の誕生日でハンター業を引退できる。それまで野郎のハンターで結婚出来る連中は皆無だ。

 ハンターと結婚しようと言う連中が居ないからだ。

 女性のハンターは少し事情が違う。

 子を成さないといけないからな。彼女達は30歳までだ。

 その後は・・・・最低2人産まないといけないとかこの国の法律は腐っていやがる。

 ああ、俺は未だ童貞。女を抱く前に死にたくないが、ハンターの大半は童貞のまま散る。風俗に行ってみたいが何故か禁止されている。

 どうやらハンターは24時間呼び出しに対応する必要があるのと、性病をうつされると駄目なんだとか。

 どこで調べるんだよ!

 さて、俺達ハンターが40歳の定年を無事迎える事が出来る確率は、僅か数パーセントと言われている。

 どっかの統計だと1%とか。

 10人に1人はハンターだが・・・・つまり3000万人いる日本人のうち300万人がハンターで、40歳まで生き残るのが3万人とか。

 あれ?半数は女性だから1・5万人か?


 俺、結婚出来るかなあ。

 28歳。あと12年を残している。まあどこにでも居るうだつのあがらないしがないハンターさ。

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