第37話告白する俺の思い②(水希と龍星)と決心

さあいよいよ、龍星が水希と向き合う時がやってまいりました。

龍星が水希に対してどのような感情を抱き、これまで接してきたのか……。

そこら辺の部分なども含めて進めていくのでお楽しみくだされば嬉しいです。


では、本編をどうぞ!!



───────────────────


(水希視点)


彼が真剣な眼差しを私に向けて、とても落ち着いた心地のする声で言った。


「水希、今度は俺の話を少し聞いてもらってもいいかな?」


それは、彼なりの覚悟を伴ったものだと気づくまでそう時間はかからなかった。

今まではどこか人に対し優しくてもどこか冷たいような雰囲気だったのに、今は全くそれが感じられなかった。


「もちろんです」


だからこそ、私もできるだけ彼に私の覚悟を、こんな私を受けとめてくれた彼のために伝わっ欲しいと心の中で叫びながらそう言った。


「……ありがとう。傷つけてしまうかもしれないけど……





俺さ、ほんとに最初の頃は水希のことをどうでもいい存在だと思ってたんだ。」



「……え」


私は一瞬何を言われ、何を感じたのかすら頭で理解することが追いつかなかった。

確かなのは、私の頬を一筋の雫が流れ落ちたことだけだった。


すると、それを見た龍星は慌てて付け足すように


「いや、その、ちがくて……酷いことを……言おうとしたわけじゃ……」


「悲しいわけじゃ……ないん…です。


ただ……嬉しくて……」


「…………えっと……」

水希はこぼれ落ちる涙をポケットから取り出したハンカチで拭き、息を整えてから言う。


「私、ずっと待ってたんです。

あなたが私に本心を言ってくれるのを。」


「ずっと前から気づいていたのか……」


「確信はなかったですけどね…………」


「なんだよ、それ。」

龍星は、思わず笑みをこぼしながら呟くと、そのまま続ける。

「そういうことなら、知ってるかもしれないけど、俺はさあんまり人に興味を持つことがなかったんだよ。それがたとえ家族だとしてもな。」


水希はただただ静かに聞いてくれ、時折相づちを打つ。


「でもさ、いつからだろうな。水希が俺の隣に居てくれることがどうしようもないくらい嬉しくなったのは。当たり前のように俺を支えてくれた水希が悲しそうな顔をしているのを見てこんなに胸がざわめくようになったのは。」


「ふふっ、私も隣に龍星くんがいないことがこんなに苦しいものだとは思いませんでした。」


「そうだね、最初は多分罪滅ぼしとか偽物の気持ちが少なからず入ってたんだと思う。」


「……私もそう思います。」


「でも、今は心の奥底から初めてこんなにも君に離れて欲しくないと思ってる。」


「……うん。」


「だから、どうか水希さえ良ければこれからも俺のそばにいてくれないか」


「ずるいですよ……龍星くん。

私がなんて答えるかわかってるくせに……」


「そうかもな、ただ今は君の水希の答えが知りたいんだ。」


すると、水希は頬を赤らめて思わず俯いてしばらく何も言わずにいた。

それに龍星は戸惑い彼女にどんな言葉をかけようと困っていると、水希が顔を上げて言う

「わた、わたしは龍星くんがこの世界の誰よりも大好きです。

これからもあなたのそばで生きていきたいです。」



「ありがとう、水希。でもこの続きは俺が言うよ。」


「……うん。」


「どうか、こんな俺でも良ければ…………










俺と『結婚してください』」


すると、水希は満面の笑みを浮かべ龍星の胸に飛び込み、

「不束者ですがよろしくお願いします!」


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いかがでしたか?

プロポーズってのは何もロマンチックじゃなくてこんなにも泥臭く、どこか恥ずかしいシチュエーションでやって見るのも違った魅力があると思いませんか?



まあ、ということで本編はここで終わらせて頂きます。


ですが、後日譚は用意してますので、もう少しだけ作者に付き合ってくださると嬉しいです!


では、また次回よろしくお願いします!








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〘 本編完結〙俺が電車事故から命をかけて守った女子高生と結婚して、幸せになるまでの話 桜木朔 @yt0318

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