第24話ゴールデンウィーク⑤ 水希と龍星

新作「超人気俳優が女子高校生を好きになるのはダメなことですか?」始めました!

こちらの方もぜひよろしくお願いします。


祝4.3万PV達成!!

改めて、この物語を読んでくださった方々に深く感謝を申し上げます。

本当にありがとうございます!


この物語はあくまでフィクションですが、それでも読んでいて共感できる部分がある、というのを念頭に書いています。

そういう所も楽しんで読んでいただけると嬉しく思います。


では、本編をどうぞ!!


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

(龍星視点)


ゴールデンウィーク最終日、


今、俺は水希と最寄り駅から数駅離れたところにある、県内最大級の規模を誇るショッピングモールに来ていた。



というのも…………遡ること昨日の夕方…


いつものように、水希が俺の介助をしてくれて、リビングでくつろいでいた時、彼女が俺に、

「龍星くん、明日って予定空いてますか?」


「ああ、空いてるよ。」


「……それなら、明日映画でも見に行きませんか?」


と、映画のお誘いをしてくれたので、


「…もちろん、久しぶりにデートに行こうか。」


「……そうですね!」


ということがあり………………


現在に至るわけだ。


ーーーーーー


「じゃあ、早速映画館に行こうか。」


「そうですね。」


と言って、俺たちはショッピングモールの中の映画館に向かうのだった。


映画館に着いて、俺は

「それで…………水希はどの映画を見たいんだ?」


「……誘っておいてなんですが、それは龍星くんと決めようと思っていて……あまり考えていませんでした……」


と、水希は申し訳なさそうに俺に言うので、

「そういうことなら……とりあえず今やっている映画紹介を見てから決めようか。」


水希もそれに頷き、俺たちはどんな映画があるのか、と側に貼られているポスターを見て回ることにした。


「そうですね…………、ありがちな恋愛系に、アクション、アニメ…………ですか、


龍星くんは、なにか見たいものありますか?」



「そうだね…………」


と、俺は水希がふと向けた視線の方に顔をやって、


「……なら、このホラー映画とかは?」

そういいながら、ひとつのポスターを指さして言う。


「龍星くんって、怖いの平気なんですか…………?」


「俺は全然平気だけど……、もしかして、水希は無理そう?」


と俺が言うと、水希は顔を真っ赤に染めて首を横に振りながら、

「……そんなわけないじゃないですか!

それに、この映画は星奈ちゃんがおすすめしてくれたものでもあるので、私もちょっと気になってたんですよ……?」


と言うので、俺も深く追求するのをやめて、


「なら、この映画にしようか。

ちょうど、これからやるみたいだし……」


と言うと、俺は早速機械にお金を入れてチケットを購入した。


「……えっ……ちょっ……」


と、水希は、なにか言いたそうにしていたが、どこか諦めた感じで買ったチケットを受け取り、早速指定席へ向かうことにした。



○○○


映画が終わって、俺たちは近くのカフェに入っていた……

俺の横では必死に俺にしがみついて涙目でいる水希の姿があった。


「そろそろ、怖くなくなったか?」


「…………ムリです。あんなに怖いなんて思ってませんでした……。」


「まぁ、確かに評判で聞くより怖かったかもな。」


と言うもの、映画館でもあちらこちらで水希と同じような悲鳴を上げて泣く人達も確認できていたからだ。


「じゃあ、落ち着くまでここで休もうか。」


「……ありがとうございます。」


水希が回復するまで、カフェで休憩してから、俺たちはショッピングモール内にある他のお店を見て回ることにした。



「龍星くん、この服似合いますか?」

と、水希はレディースの洋服店に来てから、洋服を選らぶたびに、俺のところに来てそう言う。


「…水希はなんでも似合うよ」


と、曖昧に濁してしまう。

それでも、水希は気にした素振りはなく、笑って、

「別に、龍星くんの思ったことを言ってくればいいのに……」と言って、にこやかな笑顔を浮かべ、洋服を選んでいた。


そんなこんなで、俺たちは日が暮れるまで、ウィンドウショッピングを楽しんだ。


うちに着いて、玄関先で水希が

「明日も早いので、今日のところはここで失礼しますね。」


と言ったので、


「ああ、そうだね。今日は楽しかった。

ありがとな、水希。」


「こちらこそ、楽しい時間をありがとうございます、龍星くん。」



と言って、水希は自分家に帰っていった。



ーーーーーーーー


(水希視点)

私は、家に帰るとすぐさま自分の部屋に入ってから、ベッドの上のぬいぐるみを抱えて座り込む。


「…………あれが、紗理奈ちゃんの言っていたことなのかな……。」


私が、今日龍星くんをデートに誘ったのはちょっとした理由がある……。


もちろん、せっかくのゴールデンウィークだから2人だけで楽しい思い出を残したいという気持ちもある。


それとは別に、紗理奈ちゃんの言っていたことが本当なのかをこの目で確かめようと思ったのだ。


「やっぱり……映画の時も私にバレないように気を遣われてたよね……」


というもの、私は色々と彼を試していた。


まず最初は見たい映画を聞いた事。


彼が本当に気になるものがあるなら言ってくれると思ったから。


返答は、一緒に映画を探そう。

それだけでは、いつもの優しい彼だが、そこで私はもうひとつ、彼に気づかれるかギリギリのラインでひとつのポスターに視線をやる。

すると、龍星くんはそれに気づき、さりげなくその映画を勧めてくれる。


(まあ、本当に私が気になっていた映画でもあったから、そういう意味では無意識に近いことだったけど……。)


だけど、それ以上に恐ろしかったのは映画の最中のことだ。


彼は、私を慰めるためにそこそこ怖かったみたいなことを言っていたのだが…………



今日見た映画は、歴代最恐クラスと評判のもので、どんなにホラー映画が好きな人でも、叫ばずにはいられないほどのレベルのものだったのだ。


実際、あの場にいた人達は驚くほど大きな悲鳴を上げていた

(まあ、その中でも私の悲鳴が圧倒的に大きかったのは言うまでもないですけどね…)


そんなことはいいとして、問題は映画を見る彼の姿だった。


それは、スクリーンから流れる音や映像を見て怖いと感じるよりもはるかに不気味なものだった。




なぜなら、彼の表情はまさに『無』そのものだったからだ。

彼の瞳には、興味、恐怖、驚き、といったものが何も映っていなかったのだ…………



彼は映画が終わるまで終始、まるで退屈なものを蔑むかのような視線をスクリーンに向け続けていた。



それに、私が洋服を聞いた時も口では上手く誤魔化していたけど……


それが本心ではないと、わかるくらい彼の目は虚ろになっていた。




(このやるせない気持ちを紗理奈ちゃんはずっと長い間感じてきたんだね…………



ねえ、龍星くん。あなたにとっての『特別』に私は本当に入っているの?


興味を持てず、それを周りに隠しているあなたを見ていると、こんなにも辛く寂しい気持ちになるんだよ?


私や紗理奈ちゃんがそう思うくらいだから、龍星くんはこれ以上に虚しく感じているのかな。


本当に、私があなたを幸せにできる日は来るのかな…………………………)



私は結局そのままベッドにうなだれてしまい眠りについた……



その頬には、何度も何度も流れた涙の痕を残しながら…………



ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


いかがでしたか?


次回から、ほのぼの系に一旦戻る予定です。


こんなにも龍星のことを考えてくれるヒロインは他にいない!と思って書かせてもらっています。



彼女の健気さが実を結ぶその日まで、ぜひお付き合いください!


面白い!続きが気になる!と思ってくださった方は、応援、コメント、☆☆☆などなどよろしくお願いします!



では、また次回お楽しみに!!!








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